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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年6月19日付け

 十六日に首都で行われた伯日議連主催のデカセギ・セミナーの中で、最も強く印象に残ったのが、グルッポ・ニッケイの島袋レダ代表の発表だった。世界同時不況の大波をもろに受けて、激増する帰伯者の支援活動をしており、ボランティアでやっている割に、大変な労力がかかっていることは容易に想像できる▼同団体は毎月、日系非日系関係なく参加できる再就職支援セミナーと、帰伯デカセギ向け「ただいま」プロジェクトを同時に行っている。創立した九九年十月から〇八年十一月までは毎月の平均参加者数が百人(うち元デカセギが三十人)だったが、今年一月から三月までは二百人に跳ね上がり、うち百二十人が元デカセギという異常事態になっている▼四倍に激増した元デカセギの大半が危機後の帰伯者だ。総計三千三百二十一人以上の帰伯者に対応してきたという実績は、今こそ高く評価されるべきだろう。しかも、職業紹介は無料で行われている。ただし、島袋代表は「このままでは急激な負担増に耐え切れない」と警告を発する。良心的なボランティア約三百人がこの活動を支えているが、資金的にも設備的にも限界点に達しているという▼十月六日に創立十周年を迎えるが「その日が最後となり、政府や公共団体に役割を譲っているかもしれない」と事態の切迫性を訴え、「デカセギは我々の仲間、コムニダーデの一員だ。しかも日本に対する深い愛情を持っている」と発表を締め括った▼最もデカセギが欲している支援活動の一つが、帰伯後の就職紹介であることは間違いない。今一番必要とされている支援活動の灯火を消してはいけない。(深)

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