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日本祭り=やっぱり人気の郷土食=定番、新商品に長い列

ニッケイ新聞 2009年7月21日付け

 いらっしゃい!――、売り子が声を張り上げる姿が会場のあちこちでみられた郷土食は、日本祭の目玉の一つ。今年は四十二県人会と福祉団体など六団体が趣向を凝らした様々な料理を提供した。
 「雨が降らず助かった」と杉本教雄会長が語る静岡県人会のバンカでは、タレの香りが香ばしい、炭火で焼き上げたうなぎの蒲焼が売られ、最終日の正午前後に五百食を完売した。また、茶処静岡ならではの、日本から直送された新茶葉を惜しげもなく使った緑茶も販売され、非日系人のグループが熱いお茶をすする姿も。
 北海道直送のニシンの塩焼きと、イカ焼きを販売していた北海道協会ではイカ千五百杯、ニシン一千尾を最終日の午後一時半には完売。木下利雄会長は疲れた顔を見せながらも、「みんなが手伝ってくれた」と満足気な様子。ひぐま会(青年部)会長の藤田高史エリオさん(29、二世)は、去年の反省を生かして、コンピューターで売るペースや売り子の配置を考えたという。
 「お客に見せながら作り、揚げたてが良かったのでは」と語るのは、エビがたっぷり入った天ぷらを出品した群馬県人会の内山住勝会長。三日間で二千五百枚を完売した。青年部長六年目の有賀マルセイロさん(三世)は「疲れるけど面白い」と語った。
 四、五日前から出汁をとるという、独特の風味と味わいのヤギ汁を提供したのは沖縄県人会。今年は初めて各支部の婦人会が交代で三日間の販売にあたり、県人会関係者などで屋台周辺はにぎわった。
 汁には山羊肉や皮、血のにこごりなどが入っており、ヨモギ、生姜などを入れて食べる。サンタマリア支部の玉城セイコ会長は「沖縄の一世はもちろん、ノルデステの人には羊を食べる習慣があり、好評でした」と語った。
 市内から訪れた仙台栄治さん(88、北海道)と屋嘉比康雄さん(85、沖縄)は、「ブラジル人に日本文化が浸透し、さらに百年先まで残ってほしい」と話した。

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