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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年8月20日付け

 05年の「郵政選挙」は面白かった。小泉元首相の民営化論は若い頃からの持論であり、霞ヶ関からも猛反対される。衆院での可決にも苦労するけれども、参院で否決されると直ちに衆院解散に踏み切る。このときには解散に反対する閣僚がおり、最後まで突っ張る農林大臣の島村宜伸を罷免し、森喜朗元首相の説得にも応じることなく総選挙へーと進む▼民営化に反対する候補らの選挙区には「刺客」を出馬させ自民党は296議席を獲得し、公明の31と会わせ327議席の圧倒的な勝利である。あれから今日まで自民・公明が、民主党と野党が多い参議院の反対があったにしても、衆議院での再可決が可能な議席を保持していたので政権が危機にせまられても最終的には「安全圏」にいた事実にもっと目を向けたい▼ところが今回は民主党が優勢の見方が強い。恐らく、第1党になるの観測がしきりだし、自民党は野党に転落もありうる。小泉純一郎氏は引退を表明しているが、自民劣勢の声が高くなると「たまには野党もいい」と穏やかならぬ発言をし、関係者はやきもきしているそうだ。それに小泉氏から安倍、福田、麻生まで4代の宰相を生んだ元老?森喜朗氏が苦しい選挙らしい▼海部俊樹元首相も苦戦」のようで地元に噛り付いて勝利を目指しているし、自民幹部も苦心惨憺の闘いである。片や民主党は政権獲得へ闘志満満であり、立候補者も330人と初めて自民党よりも多い。263小選挙区で自民党候補と対立していてーここで大勝利すれば「鳩山首相」が誕生し、官僚主導の政治からお別れとなるのだがー。 (遯)

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