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日系社会に安心感覚える=岩手県人会=母県の高校生らを歓迎

ニッケイ新聞 2009年8月21日付け

 ブラジル岩手県人会(千田曠曉会長)は、創立百三十周年記念海外交流事業でパラグアイ訪問の後、来伯した岩手県立盛岡農業高等学校一行の歓迎会を十二日昼過ぎから同県人会館で催した。約三十人が参加した。
 同事業には二、三年生の橘拓真さん、川又健人さん、上野健人さん、佐藤遥さん、吉田吏樹さん、槻舘知香さん、藤原栄美さんの七人が参加し、引率の藤本正彦教諭、外川直美教諭、同市役所の吉田直美職員が同行した。
 今回の海外交流事業は同校初の試み。パラグアイではアスンシオン市やピラポ移住地を回り日本学校、農業高校を訪問。ピラポ岩手県人会を訪れ、県人宅でホームステイも体験した。ブラジル訪問中はイグアスの滝を訪れたほか、セアザや文協の移民史料館なども見学した。
 千田会長は「交流できて嬉しい。ブラジルの良さを日本でも伝えて欲しい」とあいさつし、一行を歓迎した。
 槻舘さんはピラポ岩手県人会を訪問した際のことを振り返り、「外国だけど、親戚の家を訪問したような温かい雰囲気を感じた。日系社会には安心感を覚える」と笑顔で話していた。
 酪農に興味がある動物科学科の上野さんは、肉牛が中心のピラポで酪農家を訪問したそうだ。「規模の大きさにびっくりした。日本じゃ真似できない」と感激した様子だった。
 この日は同校卒業生でブラジル在住の菊地透さん(66、岩手県水沢市)も訪れた。卒業後すぐに渡伯しトマト作りや牧畜に携わってきた菊地さんは、「直接海外に行き、自分の目で見ることは良い経験」と話す。
 自身の経験から、ブラジルの農業は日本のそれと全く違うと言い、「ブラジル農業に学べるところは大いにある。ブラジルでも、もう少しじっくりみてもらいたかった」と少し残念そうでもあった。
 国語を教える外川教諭は、さんさ踊りを指導していることから引率に。「海外の日系社会と交流を持つことは生徒にとって良い機会。刺激になったのでは」と話していた。
 懇親会の後、生徒らから太鼓演奏に合わせたさんさ踊りが披露された。応援団長を務める上野さんが先頭に立ち、ブラジルの日系人へエールが送られた。「先輩たちへ送ります」と校歌も斉唱された。
 菊地義治名誉会長から「岩手県人は海外へ出るほど能力を発揮する。世界にはばたいて下さい」と言葉が贈られ、歓迎会は終了した。

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