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ルーラ大統領=政権、個人評価に陰り=高学歴層が離れる=上院不祥事へ不満募る=次期大統領選が決選なら

ニッケイ新聞 2009年9月10日付け

 Sensus調査会社は八日、ルーラ大統領の政権評価と個人評価が、景況回復にも関らず最近三カ月で下降したと発表したことを九日付けエスタード紙が報じた。政権評価で〃是〃は五月末、六九・八%であったのが九月初め、四・四%下がって六五・四%となった。個人評価は同期、八一・五%から四・七%下がって七六・八%へ。ルーラ支持率に陰りが生じたのは高学歴層と高所得層で、この層だけで一六%も下がった。一方、大統領選はマリーナが九・五%へ躍り出、セーラ四〇・一%とロウセフ一九・九%に善戦。

 調査は八月三十一日から九月四日、全国の百三十六都市で二千人に質問して行われた。大統領の個人評価が、二十最低賃金以上のクラスで一〇・九%下がった。一最低賃金かそれ以下の低所得層での二・七%低下は、誤差の範囲で実質ゼロ。
 地域では北東部と北部、中央西部が、変化なし。南部と南東部では一一・八%と八・二%と、大きく後退した。
 ルーラ大統領の政権評価と個人評価低下には、三つの観点があるようだ。新型インフルエンザと上院不祥事への対処、リーナ前国税庁長官対ジウマ官房長官紛争の握り潰しと見られる。
 特に上院不祥事は、高学歴層に影響を及ぼした。野党の上院議長辞任要求を政治工作でじゅうりんし、サルネイ上議と問答無用の連帯宣言を行ったのは、不自然の極みといえそうだ。
 新型インフルエンザへの対処は、不適切が三二・六%から四一・四%へ上った。リーナ対ジウマの紛争もみ消しは、政府が墓穴を掘ることになりそうだ。熟知する者二四%、一寸耳にしたは一七・五%。その他は、知らなかった。
 一方、次期大統領選をセーラサンパウロ州知事、ジウマとマリーナ前環境相(PV=緑の党)の三者で争った場合、マリーナが九・五%の支持率を得ている。トップはセーラサンパウロ州知事の四〇・一%で、ジウマは一九・九%だ。
 もしもセーラとジウマの決選投票に持ち込まれたとして、ジウマの苦戦が案じられている。五月の調査ではジウマの善戦で支持率上昇中であったが、ガン治療で健康状態が危ぶまれた。
 ジウマ・ロウセフ官房長官は八日、休養のため一週間の休暇をとった。先週はガンの快癒宣言を行ったが、病後の体で行政の激務に耐えられるかが問題だ。ガン快癒とはいっても、発ガン物質は体内から一掃できるものか。対リーナ紛争の集中攻撃から身をかわしたものの、高学歴層は騙されない。

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