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石灯籠設置運動を中止に=安倍さんが断念を宣言

ニッケイ新聞 2009年9月23日付け

 「辞めることに決めました」。サンパウロ市のアクリマソン公園に石灯籠を設置する運動を進めていた安倍丈夫さん(たけお、71、東京)は22日、中止を宣言に来社した。
 この計画は、4万レアル余りの寄付金を募り、自分が所有する石灯籠と由来を書いた石塔を同公園に設置し、来年のサンパウロ市創立記念日に合わせて日本文化イベントを盛大に行うというものだった。その上で残った寄付金を福祉施設に寄付する予定にしていた。
 ところが、一部の人から、自分がもっている灯籠を寄付金4万レアルで買い取るようにしているとの噂が広がり、「寄付集めが困難になったので、白紙に戻すことにした」という。
 「まったくそんなつもりじゃない」と安倍さんは抗弁する。集める予定だった4万レアルのうち1万レアルあまりを受け取り、そこから運搬費や灯籠を磨く費用、由来を書いた石塔の製作代を出そうと考えていたという。「石塔の制作費だけで6千レアルかかるんですよ」と強調し、経費であると釈明した。
 ただし、18日に本紙が取材した時には「燈篭を買った時にかかった費用はいただこうと思っている」と語っており、それを寄付活動の時に言わなかったのは、「言うのを忘れていた」などとのべていた。
 また寄付集めに際して、賛同していない人物を協力者名にあげ、本人から抗議されて途中でリストから消すなどの悶着も起きていた。
 安倍さんは22日、「今までに集めた7千レアルは全額、寄付してくれた本人にお返しします」とし、「今まで協力してくれた人には本当に感謝している。またの機会に協力をお願いしたい」と頭を下げた。
 「(設置を祝う)イナウグラソンでは和太鼓を呼んだり、裏千家にお茶をやってもらったり、日本食のブースを並べたり、サンパウロ市の創立記念日に相応しい日系イベントにする費用として考えていたんですよ」と残念そうな表情を浮かべた。
 この石灯籠は、23、24年前に料亭青柳が閉店した時、1基7500ドルで2基買い取ったもの。1メートル20センチの高さがあり、マイリポランのシッチオに設置してあるという。

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