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アマゾンを拓く=移住80年今昔=【ベレン・トメアスー編】=《24》=度重なる倒産の危機超え=生き残るトメアスー組合

ニッケイ新聞 2009年9月29日付け

 「組合は何度も潰れそうになった」。CAMTA(トメアスー総合農業共同組合)の坂口渡フランシスコ理事長(49、二世)は、中心街の十字路に面した組合ビルの会議室で、流暢な日本語でそう話した。
 『70年史』にも「農産物の低迷と高インフレによる組合員の債務増大は、組合の対外債務の増大となり組合経営の資金ショートを誘発し、1983年度決算は大幅な赤字決算に陥り、1984年7月の臨時総会で、経営状態の事実上の破綻が説明された」(57頁)とある。
 当時の組合役員がまず考えたのは、コチア産組中央会に合併吸収してもらうという選択肢だった。だが断られた。コチアの台所事情も劣らずひどかったからだ。
 トメアスー住民と一体になった再建計画の熱意が日本政府に理解され、84年12月に組合再建資金として25億クルゼイロ、翌85年5月に生産物増産のために35億クルゼイロが融資され、これによって対外債務が一掃された。
 同時に役員の一新、不動産の処分をして経営縮小を図ったが、危機感を強めた組合員108人が83~86年に間に脱退した。この再建策の一環がマラクジャ・ジュース工場建設だった。
 70年代から徐々に、クプアスー、マラクジャ、ハワイマモン、アセロラなどの熱帯果樹栽培へと多角化を進めようとしたが、遠隔地であり、道路条件の悪さにより、熱帯果樹の生産地造成にはいたらなかった。
 そこへ82年にトンあたり2千ドルだったピメンタ価格が上昇し始め、87年には9千ドル台の高値となり、営農多角化への意欲が薄れた。ところが88年に再び2千ドル台に下落、90年のコーロルプランの資金凍結がとどめを刺し、生産者は苦境にたたされ、デカセギが相次ぐ事態となった。
 坂口理事長自身もその一人で、6年間ほど日本で就労した経験がある。
 84年に最初のジュース工場がJICAの援助で完成した。さらに87年にトメアスー経済地理農村電化組合(COERTA)が創立され、入植60周年に竣工記念碑を建立し、90年11月には農村電化事業の終了宣言がだされた。
 しかし、「ジュース工場の生産はなかなか軌道に乗らなかった。1990年代前半は、計画性のなさが災いし、需要に対応しきれなかったり、在庫を抱えたりなどして、負債を膨らませることになった」(論文「トメアスー移住地の歴史と現状」小野寺理佳、新藤慶、47頁)。それを軌道に乗せたのはアサイの価格上昇だ。
 坂口理事長は「アサイに期待している」と強調する。昨年6月、海谷英雄文協会長がブラジリアの日本国大使公邸で皇太子殿下に謁見した時、「アサイ、知ってますよ」といわれた。皇室の温かいまなざしやフルッタ・フルッタ社の販売努力が実って、日本での知名度も上がっている。
 さらに同理事長は「森林農業でやっていくしかない」と強い決意をみせる。父・坂口陞さん(のぼる・故人)が森林農業の生みの親でもある。「先輩方が苦労して築いたこの組合を潰してはいけない」という言葉には日系人としての強い誇りが込められている。
 93年8月に農村電話協定、翌94年3月に落成式が行われ、「ようやくトメアスー内に文明の灯が点灯され、社会、文化、農業、娯楽などあらゆる面で大きく変動したのである」(『70年史』62頁)。
 80年代にコチア産業組合中央会、南伯中央会も危機に陥り、結局は94年に崩壊した。〃魔の94年〃だ。4月に南伯、9月にコチアが相次いで崩壊した。当時、政府の農業保護方針が大きく転換するなど、日系だけでなくブラジル全体の農業組合が危機に直面していた時期だった。
 合併をお願いした大産組は潰れ、トメアスー組合は生き残った。歴史の皮肉としか言いようがない。(続く、深沢正雪記者)

写真=坂口フランシスコ渡理事長

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