ホーム | 日系社会ニュース | 「よく表現できている」=聖南西お話学習発表会=8地区の選抜が披露

「よく表現できている」=聖南西お話学習発表会=8地区の選抜が披露

ニッケイ新聞 2009年10月30日付け

 聖南西教育研究会(岡田エリーナ会長)は「2009聖南西お話学習発表会」を25日、ソロカバ日伯文化体育協会会館で開催した。6歳から17歳まで各校のお話大会で選抜されてきた34人の生徒が、大人顔負けの日本語を元気いっぱいに発表。出し物の部では6校が日本語で劇や踊りを演じ、日頃の成果を披露した。会場では終日、父兄や生徒の友人など約300人が熱心に耳を傾けていた。
 発表会のお話の部では同研究会所属11校の日本語学校のうち、レジストロ、イビウーナ、ピエダーデ、ソロカバ、ピラール・ド・スール、コロニア・ピニャール、カッポン・ボニート、グァピアラの8校の日本語学校が参加した。
 開会式で、ソロカバ文協の安田満パウロ会長は、日本文化の教育を支えている教師や父兄に謝意を表し、「胸を張り、声が聞こえるように発表してください」と励ましの言葉をかけた。続いて同研究会の田中得朗教育部長より挨拶があった。
 岡田会長は「各校で選ばれた生徒のみなさん、おめでとう」と述べ、「今日は踊りや歌もあるので最後まで楽しんでください」と挨拶をした。
 会場には各校の生徒らが書いた書道や絵画、日記など日頃の勉強の成果が所狭しと展示され、目でも楽しめる工夫があり、会場の雰囲気を盛り上げた。
 お話の部では年齢順に発表があり、家族を紹介したり、祖父が話してくれる昔話や、祖母が教えてくれる日本料理など、家で学ぶ日本文化を紹介したりする人もいた。
 「私の『陸上』という道」を発表した、イビウーナ日本語学校の白旗しずえさん(14、三世)は陸上大会で優勝し、最優秀選手に輝いたことを語り、「夢は世界選手権やオリンピックに出ること。夢が叶うよう練習したい」と締め括った。自宅では祖父母と日本語で話し、日語学校では週3回勉強しており、「緊張したけど上手に話せた。素晴らしい選手になり、オリンピックに出て家族を幸せにしたい」と感想を述べた。
 生徒らは各校の代表者だけにレベルは高く、生徒全員が原稿を見ずに流暢な日本語で語った。
 出し物の部では6校の生徒が九つの演目を披露した。コロニア・ピニャールの生徒達は劇「かさじぞう」を発表した。地蔵役の6人は印相(仏像の手の形)の姿で、頭に雪を載せて揃って横歩きで登場。その姿に会場からは歓声がわいた。おじいさんとおばあさんに扮した生徒は笠を作る仕草や地蔵に笠を被せたりと演じてみせた。
 会場の後方で孫の発表を見ていた、ピエダーデ在住の有沢マリコさん(61、長崎)に話を聞くと、普段は日本語で問い掛けてもポ語で返事をするという。「思ったより落着いて話していた。踊りや話し方の練習をする過程が人間形成に役立つので続けて欲しい」と嬉しそうに目を細めた。
 閉会式では、お話の部の表彰式が行われ、賞状と記念品が贈られた。8月にあった聖南西作文コンクールの学校代表者の表彰式も行われ、同参加者全員に賞状と記念品が贈られた。
 同地区11校全ての巡回指導をするJICAシニアボランティアの飯田美穂子さんは「日頃から考えたり感じたりすることを表現できており、感動しました」と述べた。最後にソロカバ文協日本文化センターの梶山イサオ校長は「参加した生徒や先生、役員のみなさん、長い間お疲れ様でした。素晴らしかった」と締め括った。
 同研究会では日本語と日本文化の継承、教師のレベルの向上を目的に、2カ月に一度、各地区を巡回し定例会や先生の実践指導発表会、講師を招いて講演会を開いたり、林間学校や青空スポーツ教室などを開催したりし、交流を深めている。

image_print