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■ひとマチ点描■夫の遺志を継いで

ニッケイ新聞 2009年11月10日付け

 「最初の灯ろうは南無妙法蓮華経を意味する7基だけでした」。2日のレジストロ灯ろう流しの前に行われた先没者法要の後、日蓮宗恵明寺の石本妙豊(みょうほう、74、二世)さん=写真=は、そう語った。
 夫・恵明(えみょう)さんが54年前に水難者追悼供養で初めて流したことから灯ろう流しは始まり、現在は合同法要となり、同市最大の行事の一つに成長した。
 妙豊さんは「54年間なのに55回なのは、年に2回やった年があったから」という。28年前に恵明さんが亡くなって以来、妙豊さんと息子の恵公(えこう)さんが引き継いでいる。
 サンパウロ市ジャルジン・ダ・サウーデ区にある恵明寺。「一から始めて建立するのに33年」と妙豊さんは振り返り、「春日文蔵さん、今朝男(けさお)さん、マリオさんと三代に渡って協力してくれる方々がいらっしゃるおかげで、こうして今年も無事にできました」と手を合わす。たくさんの志に支えられ、日本の行事はブラジルに根付いていく。(深)

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