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サンパウロ州政庁に銀杏を植樹=ヒロシマ学校と県人会=平和教育の一環として=「戦争二度といけない」

ニッケイ新聞 2009年11月13日付け

 桜やパウ・ブラジル、もみじなど新春の緑が目に鮮やかなサンパウロ市モルンビー区のサンパウロ州政庁バンデイランテス宮に「銀杏(いちょう)」を植える植樹式が6日行われ、西本エリオ州議や防災局サンパウロ州コーディネーターのキタ・ルイス軍警大佐の代理としてサンパウロ州防災局軍務部武官のカサイ・トニー軍警大尉、広島文化センターの大西博己会長、リベルダーデ地区治安協議会(CONSEG)の小川彰夫会長なども出席した。さらに、イタケーラ区の州立ヒロシマ学校の生徒90人も参加し、平和の象徴である銀杏へ思いを託した。
 本企画はヒロシマ学校の生徒が同宮を見学する際、サンパウロ州教育局のプログラム「ビバ・ジャポン」コーディネーターを務めた日野寛幸さんと広島文化センターの平崎靖之理事が「平和を願う、意味のあることをしたい」という思いから始まった。
 植樹式をするにあたり、同宮の小講堂で広島学校の生徒に対し、平和に対する学習会が開かれた。平崎理事や大西会長から挨拶があった後、日野さんは生徒達に向かって「銀杏を知っていますか?」と問いかけると、顔を見合す生徒たち。原爆が投下された広島で、まっさきにすくすくと育った銀杏のたくましさを説明し、平和の尊さを訴えた。
 小川代表は今年訪れた広島、長崎の話に触れ、「原爆の影響で未だに苦しんでいる人がいる。戦争は二度と起こしてはいけない」と語気を強め、来年8月にレジストロで行われる灯ろう流しへの参加を呼びかけた。
 西本州議は市会議員を経た後、州議となった経緯を自身の半生と共に振り返り、「是非、夢や目的をもち、実現できるよう努力してください」と学生に励ましの言葉をかけた。
 一行は同宮敷地内の庭園に移動し植樹を行った。植えられた銀杏の苗木2本は日野さんから寄付されたもの。平崎理事は「協力して銀杏を植え、ブラジルに根付いて欲しい」と思いを語った。
 日野さんは「この銀杏は通りからも見えるので、大きく育つのが楽しみ。植樹する意味を生徒にも分かって欲しい」と述べた。また、同校、高校3年生のファブリシオ・リスボア・ソウザさん(17)は「今日、話を聞いて、植樹とヒロシマ学校との関係がわかった。育つのを見るたびに思い出すだろう。見守っていきたい」と感想を述べた。

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