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モジ最古、入植90周年祝う=第19回ふるさと祭りで=伝統のコクエラ日本人会

日系社会ニュース

ニッケイ新聞 2009年11月17日付け

 今年で入植90周年を迎えたモジ最古の入植地コクエラで14、15両日、コクエラ日本人会(農業者協会、木本照親会長)が「第19回ふるさと祭り」(田島弘実行委員長)を開催した。最盛期の1970年代には、約400家族が会に参加していたというが、現在は120家族へと減少。都会に出てゆく若者が集まれる場所にしたいとの思いも詰まっている同祭に、今年も二日で3万人が訪れ、ふるさとを満喫した。

 90年前の1919年、鈴木重利一家の第1回入植を皮切りに、モジ最古の入植地として現在も続く同地。日本人会は26年に発足し、翌年には子弟らの教育のために自治体に働きかけ、現在の会館の地に州立小学校を建設。さらに戦後66年に中学校、72年には高等学校と、当初から一貫して子弟教育に取り組んできた。
 14日午前10時過ぎから行われた開会式には、飯星ワルテル下議、マルコ・バエルタイオーリ市長、安部順二元市長、長尾オズワルド同市農務局長、織田順有副領事、中山喜代治モジ文協理事長ら多くの来賓が列席。真っ青な空の下、150人が参加した。
 先人に黙祷を捧げた後、田島実行委員長は、歴史を簡単に振り返ったうえで「今年で入植から90年を迎え、今まで農業を引き継ぎ、同祭を今年も開催でき嬉しい」とあいさつ。
 市長は、日本人の農業発展への貢献を称え、「モジの発展を支えたのは日本人移民のおかげ」と敬意を表した。
 飯星下議の提案で、5万レアルが観光省から同祭に贈られ、飯星下議、市長、木本会長、田島実行委員長によってサイン調印式が行われ、祭りが幕開けした。
 前身の「桃祭り」から数え約40年続き、モジ市の農業イベントの中でも最古を誇る同祭。
 目玉の農産物品評会には、60種にもおよぶ野菜・果実・鶏卵・花などが農家から出品され、市長も興味深そうに農産物を一つ一つ鑑賞していた。
 田島実行委員長は、「昔に比べて技術が進んでいるから、そりゃもう昔に比べて随分と発展したよ」と話していた。
 外の会場では、日本食やショーが一日中行われ、最終日の夜は、恒例の花火で締めくくられた。
 枇杷の部で一位と二位に選ばれた細谷武雄さん(62、二世)は、独立しコクエラで農業を始めて28年。約17ヘクタールの土地で柿、枇杷、アテモイア、レイシや蔬菜を栽培し、地元やセアザで、「細谷」マークのシールをつけて販売している。
 「僕は前に出るのは嫌い。農業は自分に合ってるね。誰も見てないところで一生懸命努力して、いいものだって認めてもらいたい」と話し、「今回評価されて嬉しい。一つの生きがいでしょうか」と静かに喜びを表した。
 木本会長(68、三世)は、「今、子供が外に出てる。今までは日本文化が続けてこられたけど、今後はもっと混ざっていくと思う。仕方ないよねぇ」と話しつつ、「やっぱり(会の活動を)息子らに続けてもらいたい」と同地生まれの坂田正雄さん(77)と塚原忠男さん(73)らと同祭への思いを漏らしていた。

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