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事業仕分け=ブラジル側への影響は=外務省やJICA、基金=相次ぐ見直し、削減判定

ニッケイ新聞 2009年11月26日付け

 鳩山政権による行政刷新会議が進めている2010年度概算要求の事業仕分けは、ブラジルにも影響を及ぼす可能性がでている。24日に始まった後半の仕分け作業では、外交分野にも切り込み。仕分け人からは、外務省および同省所管の国際協力機構(JICA)、国際交流基金の概算要求に対して見直しなどを求める声が上がった。
 共同通信が報じた仕分け結果によれば、外務省関連としては、海外の道路や学校などの施設整備に対する無償資金協力援助について予算要求の「3分の1程度を削減」するよう求めた。ハコモノだけでなく「人への支援を考えてほしい」とも。
 ここで挙げられた無償資金協力が、ブラジルでも実施されている草の根無償資金協力や草の根文化無償資金協力といった部分まで含んでいるのかは分からない。仮に含まれているとすれば、これまで各地で行われてきた資金協力も変化を迫られるだろう。
 JICAについては、日本国内の施設統合、人件費、旅費など日本側の問題のほか、技術協力やボランティア派遣のための交付金削減、青年海外協力隊の派遣費用削減などの意見が出ている。
 同報道では日系社会青年・シニアボランティアについて言及されていないが、ボランティア制度全体という考え方をすれば同様に対象となる可能性もある。
 25日には国際交流基金への運営費交付金が取り上げられた。
 芸術文化交流や海外の日本研究者支援などの事業を実施する同基金。交付金の要求額について、仕分け人は、文化庁などと重複事業があること、天下り役員が多額の報酬を得ていることなどを問題視し、「見直し」と判定したという。同基金に対しては、951億円の基金の国庫返納についても検討が求められている。
 在外公館の維持・運営に関する経費の概算要求も取り上げられ、「見直すべきだ」と判定。また、海外の要人・文化人・報道関係者などを対象にした招聘事業についても「3分の1程度の削減」と判定された。
 日本移民百周年を祝った昨年はブラジルからも日系人はじめ多くの関係者が日本を訪れた。また基金では、百周年・交流年にあわせて予算を増額し、人形、舞踊、美術、雅楽など、触れる機会の少ない様々な日本文化をブラジル各地に紹介した。日本文化が親しみをもって受け止められているブラジルだけに、今後の人的・文化交流の行方が気になるところだ。
 一連の事業仕分けの結果が実際の予算にどの程度反映されるのかは、現時点でははっきりしていないが、ブラジル、日系社会の関係する事業にも少なからぬ影響を及ぼしそうだ。
 在聖の総領事館、JICA支所、基金など関係機関に対して、日本側から連絡は入っていないという。

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