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秋の叙勲=受章2氏、喜びの一日に=サンパウロ市で伝達式と祝賀会=荻原・坂手両氏「身に余る光栄」

ニッケイ新聞 2009年11月28日付け

 2009年秋の叙勲伝達式が26日、サンパウロ総領事公邸で行われた。受勲者の家族や親戚、知人らも含め、約40人が祝賀に駆けつけた。同管内の邦人受勲者は荻原(おぎはら)孝行さん(79、広島、帰化人)=カンピーナス市在住=と、坂手實さん(73、二世)サンパウロ州ボツカツ市在住=で、この日、大部一秋総領事から勲章・勲記が手渡され、喜びの一日となった。同日夜、文協貴賓室で祝賀会が開かれ、21の日系団体の代表、家族・知人ら80人が集まり、受章した2人を祝福した。

 旭日単光章を受章した荻原さんは1973年から23年間、ペドラブランカ日伯文化協会の会長として、婦人部、青年部を創設するなどして活性化、後継者育成に貢献。 また、カンピーナス市と岐阜市との姉妹都市交流事業に積極的に参画し、訪伯団の受け入れ及び訪日団送り出しに全面的に協力した。ペドラブランカ植民地では旧南伯産業共同組合を中心とし、果樹、特にグァバの生産地として栽培地を作りあげ果樹栽培農家の形成に力を注いだ。
 大部総領事から勲章・勲記を伝達された荻原さんは3歳で移住し、移住内での野菜作りなどの思い出を語り、「身に余る光栄。地元の人々や友人、そして妻の力が偉大です。ブラジルに渡ってきて苦労した両親やみなさんに感謝する」と謝辞を述べた。
 伝達式の後、荻原さんの隣で座って談笑していた娘の荻原ジェニさん(43、二世)は日頃の父の、元気な様子を語り「まだまだいろんなことをしたいみたい。そういう元気なところが誇りです」と語った。
 瑞宝中綬章を受けた坂手さんは、サンパウロ州立パウリスタ総合大学ボツカツ校にて教鞭をとる日系二世の教授とボツカツ日本文化協会の設立に尽力し、初代会長として日系人の地位向上、協会の発展に貢献。
 ブラジル青年協会では青少年講習会を定期的に開催して、日伯農村青少年指導者の育成をした。さらに、同大学で日本文化学術交流コーディネーターとして日伯間の文化学術交流にも貢献した。
 同総領事から勲章・勲記を伝達された坂手さんは、「我々の世代はみんな大変な努力が必要だった。その中で選ばれたのは光栄。人生一度しかない。これからも社会に役立つ仕事を続けたい」と謝辞を述べた。
 伝達式に同席した姪の林恵子さん(55、三世)は「いつも忙しくて働きすぎ」と坂手さんの様子を述べ、「シュラスコや誕生日などでしか会えないが、本当に頑張ったと思う」と語った。
 夜の祝賀会では、受勲した2氏が紹介され、主催団体の代表として木多喜八郎文協会長が挨拶に立ち、「移住者の開拓精神を発揮し、各々の分野で活躍したことを嬉しく思う。日系社会の模範であり続けるようお祈り申し上げる」と祝辞を述べた。
 在聖総領事館の小林雅彦首席領事があいさつ、荻原さん、坂手さんの謝辞が続き、参加団体の紹介があった。サンパウロ日伯援護協会の森口イナシオ会長の音頭で乾杯し、祝賀会に移行した。
 会には2人の家族や親戚を始め、日系団体の関係者ら約80人が祝福に駆けつけた。親戚同士記念撮影をしたり、思い出話をしたりと、あちらこちらで話に花が咲き、盛会のうちに終了した。

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