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文協=36回目の絵画教室作品展=生徒の個性が会場包む

ニッケイ新聞 2009年12月16日付け

 ブラジル文化福祉協会(木多喜八郎会長)の美術委員会(小田エルザ委員長)は12、13両日、「第36回文協絵画教室・生徒作品展」をリベルダーデの同協会貴賓室で開催した。
 開会に先立って11日夜、会場で開会式が行われた。文協の林まどか副会長と同委員会で指導をしている画家の近藤敏顧問と近藤直人さんらが壇上に立ち、林副会長は、「みなさん作品に特徴があり、また、文協にこういう教室があるのはすばらしいこと。ますます研鑽を積んで楽しく続けてください」とあいさつした。林副会長が乾杯の音頭をとり、同展は開幕した。
 会場には油絵、アクリル画、水彩画など、19人の生徒の作品52点が展示された。風景画を中心に、花や果物、生き物や人物画など様々な種類の作品が並んだ。
 いろいろな動物が花畑で仲良く遊んでいる風景を油絵で描いた渡秀香さん(67、二世)は「姪の子どもが生まれたので、クリスマスにプレゼントしようと思って」。渡さんは同教室に入って7年目、38年間の公務員勤めを引退した後、かねてからやってみたかった絵画に挑戦した。今では「教室では時間が過ぎるのが早い。みんなと会えるのも楽しみ」と話す。
 会場の入り口に大きな絵が3点展示されている。燃えるような赤々とした白樺と、小山の上に輝くおぼろ月夜など、木をテーマにした作品を描いた70代の女性は15年目のベテラン生徒。6年ほど前から木を描き続けている。
 「絵は想像の世界のもので、イメージは頭に浮かんでくる」という女性は、「キャンパスに色を置いていくうちに思わぬものが表れる。それに向けて仕上げるのが楽しい」と語った。
 近藤顧問は「生徒に〃右へ倣え〃の指導はしたくない」と話す。絵はそれぞれの人の解釈があり、感じ方は人それぞれで、同じモノを見ていても全く違う絵になる。絵画のテーマは自由だが、必要な技術は教えるという。
 同教室は1974年、延満三五郎・第4代文協会長の時代に始まった。当時は絵画教室のようなものがなく、近藤顧問が指導を受け持った。「絵は続けることが大切。上手い下手は問題ではない」と語る。また、設立当初のメンバーはほとんどが一世だったが、最近では二世も参加し、親子や夫婦で来る人もいるという。
 会場ではゆっくりとした時間が流れ、一枚一枚、作者の思いが込められた作品を見ながらあちこちで談笑する姿が見られ、くつろぎの空間ともなっていたようだ。

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