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弓場のクリスマスにぎやかに=歌、劇、バレエと盛り沢山=「白波五人男」も大好評

ニッケイ新聞 2009年12月29日付け

 【ミランドポリス市発=金剛仙太郎記者】コムニダーデ・ユバ協会(弓場農場・弓場常雄代表)は恒例の「弓場のクリスマス」を25日夜、同農場のテアトロ弓場で開催した。今年75年目の同農場には近隣の町をはじめ、他州からも約500人の観客が集まり、独特の芸術に魅入った。
 当日午後、食堂内のピアノの前に約20人が集まり、伴奏に合わせた発声練習が始まり、外ではテアトロの観客席作りが青年部などの手により着々と進められ、農場全体が準備を進めていた。弓場らをり(51、三世)さんも「いつもと違うね、みんな興奮してる」と笑みを浮かべる。
 その準備風景を見守っていたのは、38年前に滞在経験のある鈴木春男さん(61、静岡)。2回の弓場バレエ団の日本公演の世話もした。昨年、37年ぶりに遊びに来て以来、再来伯した。「当時、一日中とうもろこしをもいでいてね、きつかったな。テアトロも変わってないね」と思い出を語る。
 弓場バレエを61年から指導する小原明子さん(74、東京)の司会のもと、挨拶に立った弓場代表は「1年を通じて練習してきたみんなが力いっぱい踊ったり歌ったりするので最後までご覧になってください」と述べ、舞台は幕を開けた。
 舞台は小林礼旺くんと弓場茜さんによるピアノの連弾「オー・スザンナ」で第1部「音楽」が始まった。器楽演奏ではピアノに合わせてクラリネットやトランペットが登場、フルート合奏では息の合った演奏を披露した。
 舞台は一転して18人の大所帯に。矢崎正勝さん(66、山梨)が指揮する弦楽演奏が始まり、18人が透明な綺麗な音色を響かせた。第1部の最後は22人の合唱で幕を閉じた。
 第2部「バレエ」では、第1アリアンサ日語学校の生徒達が青と赤の鮮やかな半被姿で、鳴子をもって右に左にYOSAKOIソーランを舞って魅せた。バレエ「ピアノでレッスン」では、可愛らしいバレエの衣装を着た子供たちが第1、2アリアンサやミランドポリス市から通ってくるレッスン風景を演じてみせた。男の子が女の子をエスコートするシーンもあり、子供たちの笑顔が演技に一味添えた。
 第3部「劇」では矢崎正勝さん脚本の、60年代のアリアンサ村の入植祭の様子を描いたお芝居「入植祭・白浪五人男」が演じられた。実際に過去に演じられた「白浪五人男」の稽古風景を通して、当時は演芸会がとても盛んで各区ごとに芝居や踊りなど様々な出し物を競い合って上演していた様子が再現された。
 トリは「白浪五人男」の最後のシーンを再現。同農場を開拓した弓場勇さんらをモデルにした5人衆が歌舞伎の化粧を施し登場。理想の移住地象を唱え、移住への決意とと共に名前など長い台詞を粋な江戸っ子言葉で表現、見事演じきった。
 五人男の一人を演じた弓場大五さん(25、四世)は「充実感でいっぱい。舞台を通して気持ちが一つになった」と感想を語った。
 ビリグイ市から30年近く、毎年来ている末永建郎さん(65、新潟)は「文化程度がどんどん上がっているのに驚く。独特の文化村となっている。これを観ないと1年が終わらない」と感想を述べた。舞台終了後は食堂で懇親会が開かれ、明け方まで話し声や笑い声が聞こえるほど、大いに盛り上がりをみせた。

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