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2010年の飛躍願って=池坊ブラジル支部=今年も初生け華やかに=日本の美を3百人が鑑賞

ニッケイ新聞 2010年1月14日付け

 華道家元池坊華道会ブラジル支部(河村徳子支部長)は9日、サンパウロ市のレストラン「新鳥」で2010年「第42回新春初生け」の展示会を開催した。8日夜に行われた開会式には高橋祐亮副領事も出席。レストランの金色の壁に合わせて生けられた鮮やかな花や、空中に浮かんだ河村リーナさん作の花のオブジェが目を引いた。両日で約300人が訪れ、500年以上の歴史を持つ日本文化を鑑賞した。
 開会式で河村支部長は「勢いよく草原を走る干支の寅のごとく、日本の生け花を普及させたい。2010年も飛躍の年でありますように」とあいさつ。高橋副領事は、「生け花は日本文化の象徴、日伯の友好の架け橋になれば」と述べた。
 約35杯を展示。今年は、経済危機の影響を受けた昨年の暗い話題を吹き飛ばそうと明るい花材を用い、華やかな作品が多く出展された。また、寅年にかけて「フォルサ(力強さ)」をイメージ、躍動感も加わった。
 同支部に入り半年というイゲ・カリーナさん(23、三世)は桃色の菊をあしらい柔らかな印象の作品に仕上げ、「スセッソ(成功)」という言葉で表す。「生け花は母に教えてもらい、幼い頃から親しんできた。調和を大切に生けています」と話していた。
 非日系のテレーザ・クリスチーナ・ヴェラさん(57)は生け花を始めて4年。今回は、竹をモチーフに大胆な作品に仕上げた。
 日本文化が好きだというヴェラ夫婦、夫ジョアン・アルベルト・ヴェラさん(62)も鑑賞に足を運び、「ポジチーボでアレグレな印象を受けた。生け花はシンプルかつ繊細、そこが美しい」と語った。
 正風体のほか、90年代に発表された新様式立花新風体など多用な形式で生けられた花が来場者の目を楽しませた。知人の作品を楽しみに訪れた竹田桜さん(67、二世)は、「目新しいデザインが多い」と感想を述べ、「明るい花に元気をもらいました」と笑顔を見せた。
 同支部名誉顧問の篠又幸市郎さんは、「視覚で楽しめる生け花は、日本文化を伝える近道では。これからも同支部の活動に期待したい」と話していた。

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