ホーム | 日系社会ニュース | 一世高齢者狙う卑劣な輩=サンパウロ市東部=少年強盗グループ暗躍=自宅押し入り刃物で脅す=報復おそれ被害者沈黙=沈静化したがなお注意を

一世高齢者狙う卑劣な輩=サンパウロ市東部=少年強盗グループ暗躍=自宅押し入り刃物で脅す=報復おそれ被害者沈黙=沈静化したがなお注意を

ニッケイ新聞 2008年10月04日付け

 サンパウロ市東部のモオカ区やヴィラ・アルピーナ区、ヴィラ・プルデンテ区、サポ・ペンバ区で、日本人高齢者の住宅を狙った、ブラジル人少年グループによる強盗事件が多発していることが分かった。被害者家族の情報によると、日本人被害者の届け出は、最近四カ月で、少なくとも二十二件にのぼっているという。ただ、実際には強盗団の報復を恐れて警察に届け出ていない被害者がいるため、全体の被害件数はさらに多いと見られる。
 サンパウロ市モオカ公園内の第五十七市警のリカルド・サルヴァトリ署長によれば、少年グループの犯行は、今年六月ごろに始まり、八月ごろに集中的に発生した。中には短期間に二、三度と強盗に遭った日本人家族もあるという。
 リカルド署長やある被害者家族の情報によれば、犯行グループは十五歳から二十歳前後の少年たちが中心。三人から四人組でおもに朝方に犯行に及び、未武装のまま塀を乗り越えて家屋に侵入、キッチンから包丁を奪い、脅迫のためにつかっていた。
 少年らは、家屋侵入の際、とくに被害者が日本人一世で、ポ語を理解できなかったり、また、ポ語を意図的に話さなかった場合などには、被害者を包丁で切りつけたりしたほか、顔面を殴打し、金品の強奪を繰り返していたという。おもに、ドルや宝石類を狙っていたとされる。
 ヴィラ・プルデンテ区の沖縄県人会関係者(一世)は、八月十四日夜、これらの少年グループに自宅で襲われたという。
 ニッケイ新聞ポ語紙「JORNAL NIPPAK」記者が親類に取材した内容によると、被害者が自宅で座って新聞を読んでいたところ、侵入した少年が同氏のネクタイを引っ張った。孫の仕業だと思ったが、何度も顔面を殴られ、側頭部から大量に出血する重症の傷を負った。被害者が親類に発見されたときは、電話線で縛られたまま血を流して床に倒れていたという。同氏はUTI(集中治療室)に二日間入院し、現在は自宅で療養している。
 こうした事件の多発を受け、この地域一帯の日系コミュニティーでは、防犯対策のオリエンテーションを実施。自宅に格子を取り付けたり、大型犬を放すことなどを薦めている。また、ウィリアン・ウー連邦下議のアシスタントも対策会議に出席し、戸締りや防犯対策についてアドバイスしたという。
 なお、このアシスタントによれば、こうした事件はサンパウロ市カンブシ区やアクリマソン区でも発生している。
 リカルド署長によれば、軍警と市警が連携してパトロールや犯行グループの調査を進めたこともあり、サンパウロ市東部地区では事件は沈静傾向にあるという。ただ、依然として十分な注意が必要のようだ。

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