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裏千家=初釜で新年祝う=3百人で華やかに=「良い弟子育ってきた」

ニッケイ新聞 2010年1月27日付け

 茶道裏千家ブラジルセンター(林宗慶代表)は17日、サンパウロ市のチヴォリ・モファレッジホテルで「初釜」と「新年祝賀会」を開催した。会場にはコロニアの各界から大勢が参加し、約300人で賑わいをみせた。会場内の舞台に畳が敷かれてお点前が披露され、参加者たちは新年の華やかかつ、厳かな雰囲気をじっくりと楽しんでいた。さらに日本の伝統芸能も披露され、1年の幕開けに相応しい1日となった。

 舞台上では午前10時半から12時半まで、教授や準教授の人達により参加者に点前が披露され、新年のお茶の味を楽しんだ。最後に林代表が登場すると、周りには人だかりができ、流れるような、丁寧で無駄のない一挙手一投足に参加者の目は釘付けとなった。
 お茶を供された大部一秋総領事夫妻らは、作法に則って美味しそうに堪能していた。
 続いて祝賀会が始まり、林代表は「今年は裏千家がブラジルに来て56年目。良い弟子が育ってきており、ブラジルでしか出来ないことをやりたい」と挨拶をした。
 ウイリアン・ウー下議の挨拶に続き、大部総領事は、昨年の初釜が着任直後の行事だったことに触れ、「流れるような素晴らしいお点前で、昨日のように覚えている。裏千家の伝統を再度見せていただき感謝する」と述べ、「一期一会という言葉通り、一生に1度しか会えない気持ちで各地を訪問している。私の業務もお茶の精神に通ずるものがあり、コロニアで温かく受け入れられ感謝している」と挨拶した。
 続いて木多喜八郎文協会長、エリソン・トンプソン・デ・リマ・ジュニオール同センター副会長の挨拶があり、与儀昭雄県連会長の音頭で乾杯をし、会は幕を開けた。
 舞台上では次々と伝統音楽や舞踊などが披露され、参加者の目を楽しませた。ブラジル日本音楽協会のダニーロ・トミック会長は見事な尺八の演奏を披露、和音の音色が響き渡った。さらに海藤バンドにより民謡「江差追分」や、津軽三味線の演奏が披露され、伝統ある舞と素早いバチさばきに拍手が送られた。
 ブラジル日本商工会議所の田中信・名誉会頭は「日本の文化を伝える素晴らしい会。さらに二世、三世、ブラジル人にも興味があり、日本の日本人より関心が高いのでは」と印象を述べた。また、松柏・大志万学院の川村真倫子さんは「毎年新しい気持ちで頑張る気分になり、エネルギーをもらえる。お茶も美味しく、和敬清寂ですね」と気持ちを語った。
 日本舞踊花柳流名取の花柳龍千多さんは「踊りとは雰囲気が違いますが、お茶は日本文化や生活に直接繋がるところがある」とお点前の感想を語った。最後は文協の花城アナクレト専任理事が「ブラボー」と威勢良く挨拶し幕を閉じた。

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