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神奈川文化援護協会=高村副会長が65万レを横領か=村田会長がサイン入り小切手渡す=借金返済に会館売却へ=ニセ弁護士アサカワと結託?

ニッケイ新聞 2010年2月3日付け

 高村純副会長が65万レアルを横領――? 神奈川文化援護協会(村田洋会長)は昨月31日午前、同協会会館で行った臨時総会で事情説明のうえ、会館の売却を決定した。〃弁護士〃として暗躍したアサカワ・マルセロを提訴、同日発足した対策委員会で調査を進め、高村副会長にも法的処置を講じていくことを確認した。口座残金ゼロ、借金11万レアル。協会を壊滅状態にまで陥らせた張本人が、「報徳精神をブラジルに」をスローガンに母県と行った「二宮金次郎プロジェクト」の実行委員長だったという皮肉な顛末とは――。

高村氏がアサカワを紹介=窮地に付け込み、結託か

 この問題の調査を行ってきた大矢進貞監査は説明に先立ち、2009年総会の議事録の登記がされていないことから、07年の役員が存続していることになり、法的責任は村田会長と大矢監査にあることが確認された。
 05年、高世整一会長(当時)が、「会長の一存で不動産を売却できる」と不正に定款改を書き換えたうえで、9万5千レアルで売却した一件に火種は遡る。
 結果的に、民事・刑事裁判の結果、売買契約は無効となり、協会は180万レアルでヴィラ・マダレーナ区にあった前会館を不動産業者「メガ・ブラジル」を通し売却、現在の会館を85万レアルで購入している。
 この際に書類などを揃えた仲買人が手数料を請求、協会はこの仲買人へのものも含め手数料8%(14万4千レアル)を「メガ」に支払った。
 しかし、「メガ」がこの仲買人に5千レアルしか支払わなかったことから、同氏は「メガ」と協会を相手取り、裁判を起こす(後に「メガ」は取り下げ)。
 裁判所から出頭命令が届いたことに協会の誰も気付かず、原告欠席のまま敗訴が決まり、7万2千レアルの支払い命令が下った。
 これにより、協会の預金が一時的に差し押さえられたことから事態が発覚。対応策を練っていたところに、高村副会長が問題解決に〃弁護士〃として連れてきたのが、アサカワ・アキオ・マルセロだった。
 しかし、協会独自の調査でニセ弁護士であることが明らかになる。

会長サイン入り小切手、口座の操作で65万レ

 この時期、村田会長がサイン済みの小切手を高村氏に預けたことから、不透明な金銭の動きが始まる。
 「仲買人に払う必要はない。逆に裁判にかけよう」とのアサカワの主張を飲む形で、準備の費用を高村氏が支払いを小切手で行う。この裁判は起こされておらず、7万2千レアルはそのまま協会の借金として残った。
 08年に入り、不審に思った大矢監査が領収書やバランスシートを見せるよう要求するも、のらりくらりを繰り返す高村氏。〃裁判費用〃としてアサカワへの支払いは続いた。
 村田会長は「高村には全幅の信頼を置いている」と怒り、役員らに大矢氏との接触を避ける通達まで行ったことが結果的に会計操作を安易化させることになる。
 追及を続ける大矢監査に、「裁判費用の還付金が5月末に50万レアル戻ってくる」「9月に90万レアルが出る」などと繰り返す高村氏。
 村田会長はこれを信じ「金が入ってきたら、どんちゃん騒ぎをやろう!」と喜んでいたというのだから開いた口がふさがらない。
 これらの説明のさいに見せた書類も偽造だったことが判明している。
 この間、インターネット操作で協会の口座から、数万単位の金額がアサカワ名義の口座に送金され続け、計50万レアルに上っている。
 「高村氏から提出された送金リスト(送金回数40)の半分の証明書があるが全て偽造だった」(大矢監査)
 昨年末には、高村氏は「自分も母の土地を売る予定だったが、アサカワに騙された。どうやら協会も…」と自分も被害者だといわんばかりの連絡をしてきたという。

口座に一銭もない! 借金11万、会館は売却へ

 「ちょっと、ビックリしています…」。総会の場で説明を受けた会員の一人は、呆然とした様子で話した。
 現在の協会の口座残金はゼロ。11万レアルが借金として残り、会館の維持費として月々4千5百レアルがかかる。
 会計の馬鳥勲氏は全く関知していないという異常な状況のなか、高村氏が小坂光子氏(県費研修生として現在訪日中)に協会から給料を払い、会計処理をさせるなど、完全に私腹化していたことが明らかになった。
 総会で大矢氏は、新しい会計士に処理を一任したことを明かしながら、アサカワを訴えることを提案、承認された。
 なお、発足した対策委員会として、白又孝範(監査)、大矢進貞(同)、永田淳(同)に加え、州藤馨、小林利博、亜父祖ヨシアキ各氏らによる結果で、高村氏に対しても法的処置を執る方向でまとまった。
 大矢氏は、「現在の会館が100万レアルで売れたとして、経費を引いても80万は残る。ポウパンサにすれば、現在の会員数では事務所を借りて活動できる」と提案。 会館売却は、わずか10数名の会員らの挙手によって決まった。今月28日に開かれる定期総会で広く会員の声を聞きたいという。

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