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今年も生徒のため頑張ろう=聖南西=教師合同研修会に30人=親睦図り技術向上目指す

ニッケイ新聞 2010年2月5日付け

 聖南西教育研究会(岡田エリーナ会長)による教師合同研修会が1月26日から28日までの3日間、コロニア・ピニャール青年図書館宿舎にて行われた。この研修会は日本語教育に関する情報の収集と、教育技術の向上を図ると共に、地域の教師の親睦を深めることが目的。聖南西地区の教師26人に加え、地区外からボツカツ、タウバテ、フロリアーノポリスからもJICA青年ボランティアが参加し、30人の参加者があった。
 26日午前9時、地元コロニア・ピニャール文化体育協会会長の木田孝平氏、聖南西文化体育連盟教育部長の豊田一夫氏から激励の挨拶があり開講した。まず国際交流基金の専門家の池津丈司氏による講義『日本語能力試験』『心と心の日本語教育』が行われ、参加者達はわかりやすく、時にはユーモアを交えた講義に引き込まれ、予定時間を30分以上超える熱の入った講義となった。
 同氏は地方の研修会への参加はこれが初めてで、各地の研修会及び日本語教育の現状にも興味を示し、講義後帰聖するはずだった予定を変更し、参加者とともに宿泊し、夕食後も教師たちと積極的に意見交換や話をして親睦を図るなど親しみやすい人柄を見せた。参加者も感激し、日本語専門家に色々と質問をぶつける姿が見られた。
 午後は『アイデア紹介』と称し、参加全教師がそれぞれ5分程度で学校活動のアイデアを紹介し、授業のアイデアから工作やゲーム、パソコンを使った授業など様々なアイデアが発表された。
 その後、昨年日本語教育歴50周年を迎えた尾崎守氏による『聖南西教育地区の日本語教育』があり、日本語教育に対する長年の経験や考えに基づいた話がされた。その後『日本語学校の活動で使えるレクリエーション』が行われ初日のプログラムが終了した。
 2日目の始まりは、JICAシニアボランティア塚越浩美氏による『日本語でスピーチ』。続いて行われた聖南西地区派遣のJICAシニアボランティア飯田美穂子氏による『日本・世界初めて物語』では、教師が学習者に与えすぎるのではなく「学習者の意識化の重要性」を説いた。両講義ともわかりやすく、参加者が話を聞くだけでなく時には考え発言し、書いたり読んだりと四技能を使いながら進められ飽きさせない講義であった。
 午後は『工作』『幼児の工作・お遊戯』と続き、『分科懇談会』では「学習時間と授業時間の使い方」をテーマに、参加者が5、6人のグループに分かれて各学校・教師が行っている授業の枠組み・授業構成などを紹介し合い、他校の様子を知るとともに今年の年間授業計画の参考にした。
 3日目は『実践発表』でピラール・ド・スール日本語学校の山崎真理子先生、イビウーナ日本語学校の山之内ノエミア先生の実践発表があり、最後にボツカツ派遣JICA青年ボランティア重千尋氏により『日本における出稼ぎ子弟の教育について』の講義があった。講義終了後もあちこちで話し合う参加者の姿が見られ、児童に関わる日本語教師として考えさせられたようで意義ある講義となった。
 昼食後閉講式があり、飯田シニアボランティアからは「池津先生のような普段受けられない素晴らしい講義も受けられ、また先生同士のいい交流ができてとてもよかった。来年はもっといい研修会にしたい」と初めて参加した研修会に大きな手応えを感じていた。
 他地区から参加した青年ボランティア達からは「先生同士の仲が良くないと学校活動がうまくいかないと感じた」「講義だけでなくそれ以外の時間でも色んな話ができてよかった」と大きく刺激を受け意義のある時間を過ごした様子が伺えた。
 最後に教育研究会副会長の広瀬みどり先生が「今年はどの講義にも生徒や教師に対する『心』が入っていて温かく感じた。今年も生徒に対して頑張ろうという気持ちになった」との感想を述べ、これには参加者一同が共感した。

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