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文協=ひばりフィルムコンサートに批判の声=誰が賛成しているの?=会員・評議員が異議=「会員が減るのも当然」

ニッケイ新聞 2010年2月5日付け

 コロニアを代表するはずの団体であるブラジル文化福祉協会(木多喜八郎会長)に批判が高まっている。「美空ひばりフィルムコンサート」を一部幹部の独善で決定、経営的に逼迫しているにも関わらず、20万レアル(約1千円)もの大金を企業から集めるというものだ。その〃寄付金〃は「美空ひばりプロダクション」の加藤和也社長夫妻ら4人の日本往復航空費や宿泊・飲食代に充てられるというのだから当然だろう。評議員会では黙殺された評議員や、会員の声を聞いた。

 評議員会にも出席した某日系企業の代表は、「創立会員の方を始め、反対の人が多かったですよね。もっと話し合うべきだし、説明義務もあるはず。大講堂の改修もしなきゃいけないし、経営的にも厳しいのにね…。理事会は通過したのに木多会長は予算の額を評議員会の日まで知らなかったんでしょ? おかしいよね。もし赤字になったら、誰が責任取るの?」と話す。
 同フィルムコンサートの実行委員会の頃末アンドレ委員長から、この企画の話を聞いた某会員は、「おかしいと思っていた。何で文協がそんな大金を持つ必要があるの? 頃末さんは『コロニアでひばりさんの人気はすごい』っていうけど、20万レアルも集められるんなら、他に使い道があるでしょ。もう文協も駄目ね。そういう企画を通すこと自体が理事会も評議員会も機能してない。会員が減るのも当然」と手厳しい。
 この企画は、地方4カ所での公演も予定している。参加を表明している団体はないが、公演を行う場合、地方文協が2万レアルを負担するということになっている。
 今年1月に会長に就任したレジストロ文化体育協会(文協評議員)の金子国栄会長は言う。
 「ひばりは100年に1人の歌手だけど、本人が来るわけじゃない。いい計画とは思いません。歌うのは中平マリ子さんですよね。2万レアル?そんなお金は無理だと思います」と話す。
 同文協は毎回、評議員会に出席しているが、車で3時間かかる。
 強行採決されたことについて「表面だけ評議員にされて、(多数決の)理由にされているみたいですよね」と皮肉る。
 評議員の坂和三郎さん(76、東京)は、評議員会に出席していたが所用があり、途中退席。その後、同企画が承認されたと聞き、驚いた。
 「反対意見が多かったから、当然否決されたと思っていました。一部の人間で決めるのは良くない。ああいう体質なら、文協のために真剣に取り組もうなんて思わない。けしからんですよ」と呆れる。
 イベント自体にも反対だ。「文協は慈善団体であり公益団体。リスクを背負うイベントはするものじゃない。慈善といっているけど、収益が出れば、でしょう? 日本から来る人に20万レアルも払った上でね。それにね、ひばりさんのビデオはみんな色んなものを見てる。今さら入場料払って見たいとは思いませんね」手厳しい。
 今年、創立から55周年を迎える文協。もはや少なくなった「文協を思う声」に木多喜八郎会長を始めとする幹部は、もっと耳を傾けるべきだろう。

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