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神奈川文化援護協会=どっちが本当のこと言ってるの?=食い違い過ぎる両者の主張=浅川が小切手にサイン?=高村氏「私は無実だ」

ニッケイ新聞 2010年2月27日付け

 神奈川文化援護協会(村田洋会長)の公金60万レアル(約3千万円)がニセ弁護士浅川マルセロに送金され続けた問題で、手続きを行った高村純・同協会副会長は、「私は無実だ。証拠もある」とニッケイ新聞の電話取材に答えた。協会、高村両サイドの主張は真っ向から食い違っており、「欲の張った連中が私を悪者にしようとしている」と協会幹部を非難、「28日の総会には出席するが、通訳付きでないと発言しない」と話している。

ニセ弁護士浅川を連れてきたのは誰?

 08年8月にあった理事会の場で浅川は初めて姿を現している。
 「浅川を知っていたのは高村氏だけ。他の役員に浅川を紹介し、通訳、会議の進行を行ったのも高村氏」と説明する協会側に対し、高村氏は真っ向から反論。
 「私が遅れて理事会に着いたときには、浅川氏と役員のあいさつはすでに終わっており、私は初対面。浅川の弁護士登録番号(OAB)も見ていない」と主張する。

インターネット振込みの金額はいくら?

 インターネットによる振込みを行ったことについては、「送金時には、私と馬鳥勲会計理事2人の暗証番号が必要だが、馬鳥さんはコンピュータを使えないから、私がやったのは確か。しかし、常に馬鳥さんの許可を取った上で送金した」と話し、「10回くらい手続きした。4、5万レアルくらいと思う」。
 協会側の説明によれば、馬鳥氏はメールを使い、「コンピュータを使えないというのはあり得ない。馬鳥氏は実質、会計事務を行っておらず、そのような許可を出していない」と説明。
 調査によれば、高村氏が行ったインターネットでの送金額は、14万569レアル(13回)が浅川名義の銀行に振り込まれている。

小切手帳は誰が持っていたのか?

 村田会長がサインした小切手帳を高村氏が持ち歩き、振込みを続けたとされる件については、「小切手を持っていたことはない。協会と馬鳥会計が持っているだけ。協会に置いてある緊急用の2枚ほどの小切手を使った程度」と話す。
 協会側は、「高村氏は第2副会長と会計理事を務めていたが、08年5月の総会で馬鳥氏に会計理事が代わったにも関わらず、引き継ぎもせず、会長サイン済みの小切手を持ち歩き、多額の振込みを行った」とする。

銀行で手続き、サインをしたのは浅川?

 インターネット送金とは別に、計40万レアルもの送金手続きを小切手や銀行窓口で行ったことに関して、高村氏は「村田会長と馬鳥会計、常に2、3人で行った」と説明しているが、協会側によれば、村田、馬鳥両氏が行った事実はないという。
 この件に関し、銀行側に調査を依頼した大矢進貞監査によれば、「手続きを行った担当者に馬鳥氏の写真を見せたところ、『違う人物。高村氏と来たのは背が高かった』と説明している」と話す。浅川氏が協会関係者を装い、サインした可能性も鑑み、現在、筆跡を照合中だという。

高村氏「私も騙された」

 「母の土地の法的手続き依頼し、騙された。09年2月に『浅川は信用できない』と村田会長と大矢監査に言うと、逆に怒鳴られた」と話す。
 ところが、大矢監査は、「疑問を投げかけると、一方的に怒鳴るのは高村氏。私はそれ以前に多額の支出に疑問を抱き、説明を求めていたがそれに応えたことはない。それなら2月以降に20万レアルも浅川に振り込み続けた理由を聞きたい」と話す。
 それに対し、高村氏は、「おかしいとも思ったが、裁判所からの支払い請求を出されたので払う必要があった」と答えている。

28日の総会で対決か

 協会側は、「高村氏には、60万レアルもの公金を無断で支出した経緯を説明する義務がある」と話す。
 昨年12月27日、今年1月31日の臨時総会、2月13日の対策委員会にも連絡したが、欠席している。
 今月28日に総会が行われるが、高村氏は「出席するが、ポ語の文章を読む。質問があれば、通訳を通じて答える。通訳はすでに協会に依頼してある」と話しているが、協会側は、「今まで副会長として日本語でやってきたのに、今さら何故通訳が必要なのか。そもそも通訳を準備してくれといった話は聞いていない」と両者の主張は並行線を辿っている。

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