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日系人の入国・在留要件見直し=法務省=第4次出入国計画を策定=専門家の受け入れ促進へ=来年国会に関連法案

ニッケイ新聞 2010年3月31日付け

 【共同】千葉景子法相は30日午前の閣僚懇談会で、今後5年間の出入国管理行政の指針となる「第4次出入国管理基本計画」を報告した。専門性の高い外国人の受け入れを促進するため、法務省令で歯科医師6年、看護師7年と定めている就労期間制限の撤廃検討などが柱。
 歯科医師と看護師の制限は日本人との過当競争回避が目的だが、少子高齢化の進展で、社会保障関係の人材確保のため見直しが必要と判断した。計画は、日本の大学を卒業して資格取得した介護福祉士についても基本的には認めていない日本での就労を許可する方針も打ち出した。
 さらに国際競争力強化のため外国の学者、技術者、経営者の研究実績や学歴などを点数化し、一定水準に達すれば「高度人材」として永住許可などで優遇する「ポイント制」導入の検討を提唱した。
 法務省は計画実現のため入管難民法などの関係法令の点検作業に着手し、必要な法整備に関して早ければ来年の通常国会で実現したい考えだ。
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 日系三世までの訪日就労を可能にした90年の改正入管法施行で急増した在日ブラジル人コミュニティは、最大で30万人以上を数えたが、一昨年に始まった世界金融危機により雇用・生活の困難に直面。危機開始からの帰伯者は7万人に上ると推測される。
 こうした状況を受け、「第4次出入国管理基本計画」では、日系人の受け入れについて一項目を割き、入国・在留要件の見直し、子弟の就学促進などを挙げている。在日ブラジル人コミュニティの将来にも大きく関わってくると考えられることから、参考として該当部分を転載する。
【日系人の受入れ】
 日本人の子孫として我が国と特別な関係にあることに着目して、その受入れが認められている日系人は、人手不足の製造業分野の現場作業等に従事するなどし、地域経済を支え、活力をもたらす存在として、これまで我が国の経済発展に貢献するとともに、彼らの受入れを通じ、我が国の地域社会の多文化化、活性化も図られてきたが、その一方で、その異なる文化的背景、習慣・価値観は、日本語能力が不十分であることなどとも相まって、地域社会との間で、少なからず、摩擦、軋轢を生んでいる。特に、平成20年下半期以降、経済情勢が急激に悪化する中で、派遣・請負など不安定な雇用形態で就労する日系人等の雇用、住居、子女の教育等に係る問題がより深刻化している。
 関係省庁は連携して、雇用等の労働環境の問題、日系人等の子女に対する教育の問題等、様々な行政分野の課題に取り組んでいるところであるが、日系人が、我が国社会の一員として、その義務を果たしつつ我が国社会で安定した生活を送っていくことが重要であり、出入国管理行政としても、そのような観点から、我が国に入国・在留を希望する日系人、特に、我が国に現に在留する日系人の過度な負担とならないよう留意しつつ、入国・在留の要件の見直し等について検討していく。
 また、日系人子女の健全な育成を図り、社会的地位を高める機会を与えるためには、少なくとも初等・前期中等教育の就学年齢にある子女には確実に教育を受けさせることが重要であり、在留期間更新等の審査において就学年齢にある者が不就学であることが判明した場合は、関係機関と連携し、その就学を促進する措置を実施していく。
(同基本計画19ページ。入国管理局ホームページ)

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