警備員の銃器が犯罪に=5分の1が盗難にあう
ニッケイ新聞 2010年4月30日付け
サンパウロ市では、警備会社の名で登録された拳銃の5分の1が犯罪者の手に流れている、と29日付エスタード紙などが報じた。
現在、ブラジルには110万人の警備員がおり、サンパウロ市では12万8千人が警備員として勤務する。
連邦警察などのデータを元に行われたソウ・デ・パス研究所の統計によれば、2004年以降に警備会社名で登録されたピストルその他の銃器9万2121丁のうち、23%にあたる2万1240丁が盗難にあっていたことが発覚した。また、1%にあたる900丁が紛失したと報告されている。
これらの盗難、紛失で扱われている銃器が犯罪者の手に流れている可能性は、各地で起きた事件からも推測されるもの。
例えば、23日にサンパウロ市東部で起きた弁護士銃撃事件で押収された38口径の銃は、2000年に警備会社から盗まれたもの。様々な人の手を回って、15歳の青年の手に渡ったという。
また、昨年7月に起きた警備会社の護送付きの車を襲った犯人グループが持っていたのは、一般的な警備員が使う拳銃タイプではなく、戸外での警備にあたる警備員らが使う小銃などだった。
同研究所で調査にあたったデニス・ミズネ氏は、盗まれた銃器については警察による厳重な追跡捜査が必要だと強調する一方、警備員らが持つ銃器が狙われる件数の増加は、政府が呼びかけた銃器回収計画の浸透で一般市民が持つ銃器の数が減っているからではないかとも分析している。
一般市民からの銃器回収計画の浸透で、サンパウロ市では1999年から2008年の殺人事件が70%減るという成果も出ているが、警備会社が購入した破壊力の強い銃器が犯罪者の手に渡ることへの懸念は大きい。
リオ市でも、1998年から2003年に押収された1万丁の拳銃のうち17%が警備会社に登録されていたものだったとの報告が出ている。