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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年7月6日付け

 日本も活字離れが激しく、出版業界も苦しいらしい。学生や若い人たちが本を読まなくなったし、古典とまではいかなくとも、漱石の「坊ちゃん」や森鴎外、志賀直哉などを見向きもしない向きが多い。テレビやインターネットには興味津々なのに文字を読んで楽しみ苦しむのが、あるいは億劫なのかもしれない。それでも、新聞だけは派手な見出しに目を向け、それなりに読む▼今、世界一の発行部数を誇るのは読売新聞で1000万部であり、こんなに大きな新聞はどこにもない。もっとも、こんな新聞王国の日本でも、全体的に見れば部数が減少傾向にあり、経営も決して楽ではない。これは欧米の国々も同じだし、伝統ある新聞の休刊や廃刊が続いている。仏のクオリティペーパー「ルムンド紙」も、経営困難に陥り―実質的な「身売り」を決定し話題になっている▼この新聞は硬派であり、記事を優先するために写真を掲揚しない方針だったと聞いている。勿論、現在は使用しているが、あのドゴール将軍(大統領)と同士のブーブメリー氏が1944年に創刊したのだが、友人のドゴールをも批判する論稿を載せ、将軍は「彼の意見を変えるのは針の穴にラクダを通すより難しい」と嘆いたそうだ▼この歴史的な新聞も発行部数が25万部に減少し、左翼系の会社に売却せざるをえなかったのは、何とも侘しい。あのニューヨク・タイムズにしても、発行部数が昨年に7万5千部も減り、とうとう100万部の大台から落ちてしまったのだから、あるいは読売新聞のような1000万部は世界的にも稀有な存在と言えるのではないか。(遯)

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