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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年9月2日付け

 池坊華道南米支部が創 立から50年の節目を迎えた。サンパウロ市文化センターでの花展も多くの市民の関心を呼んだようだ。その半世紀を振り返る前に本家の歴史を調べ、その古さに目を剥いた。何と飛鳥時代に遡る▼四天王寺建立のさい、悪夢を見た聖徳太子が六角堂を建て護持仏を安置。そのさい太子が沐浴した池の近くにあった僧坊を「池坊」と呼ぶようになり、僧らが花を生けていたことが発祥だという。その後、室町時代に28代専応が花伝書「池坊専応口伝」を著し、生け花の理念を確立したとされる▼世界的に知られる日本文化だが、現在の45世専永宗匠が国際化を推し進めた。ブラジルにおいても10年毎の創立記念に来伯し、73年からは講師派遣制度を設け、83年には支部教室設置のさいに送った古着1千箱が資金調達につながった。100周年にも来伯、ブラジル支部創立40周年および日本移民百周年を記念して、花展『いけ花 未来へ飛躍』を開いている▼今回、文協貴賓室で28日にあった専永宗匠のデモンストレーションもかなりの熱気を見せた。熱心にメモをと取っていた非日系の女性に魅力を聞くと、「ブラジルは飾り立てるだけだが、生け花は数少ない素材で様々なことを表現する」と話したのが印象に残った▼さすがは家元、大相撲の横綱を引き合いに出し、「最後が一番偉い人。それではこれで失礼」と席を後にし、礼式生けをする特別派遣教授に引き渡すという京都的な〃いけず〃っぷりも披露してくれた。池坊自体から見ると、わずかばかりの50年だろうが、多く方のご苦労があったことだろう。これからの発展を祈りたい。(剛)

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