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〝ふるさとの味〟を日本で=浜松にジャボチカーバ園=日本人、ブラジル人の名所に

ニッケイ新聞 2010年9月3日付け

 【静岡新聞】浜松市北区都田町のはままつフルーツパークで、日本では珍しいブラジル原産の熱帯果実「ジャボチカーバ」の摘み取り園を計画している。日本国内では栽培例が少なく流通していないため「幻の果実」として、一方ブラジルでは身近な果実として食べられているため、日系ブラジル人には「古里の味」として人気スポットに育てたい考えだ。

 ジャボチカーバはフトモモ科の常緑高木。木の幹などに白い小花を付け、ブドウの巨峰のような直径2~3センチほどの丸い実を付けることから「キブドウ」とも呼ばれる。果肉は半透明の乳白色で、さわやかで上品な甘さが特徴。ブラジルでは庭木としても親しまれているが、日本では沖縄など数カ所で栽培されているのみ。また、生の果実は日持ちがしないため一般に流通しておらず、国内ではめったに味わうことのできない果実だ。
 開園当初から多数のジャボチカーバを育成していた同パークだが「来園者に着果の様子を観察してもらうため」と収穫は行っていなかった。だが、他の熱帯果樹の栽培方法の見直しで展示栽培スペースに余裕が生まれたことから、以前から計画していたジャボチカーバ園の開設に動き出した。
 栽培は元マンゴー園だった広さ400平方メートルのガラス温室で行い、年末までに鉢植えした樹齢7~15年のジャボチカーバ約60本を温室内に配置する。室温を調整することで開花時期をコントロールし、年2回の収穫を見込み、早ければ来年の大型連休に試験的に収穫体験会も開く予定。
 同パークの村上孝弘果樹園芸課主任技師(42)は「有機栽培で育成する計画。味はもちろんだが、変わった実の付き方を訪れた人たちに楽しんでもらいたい」と話し、「県内に多い日系ブラジル人にもPRしてフルーツパークを知ってもらうきっかけにしたい」としている。

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