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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年9月18日付け

 岡田克也外相の幹事長就任が決まり、菅内閣の「小沢」路線が固まった。党三役は全員が「反小沢」であり、小沢前幹事長による「二重権力」を廃して「政治とカネ」の権力構造からの脱却を目指したのを喜びたい。きょう17日午後に内閣改造に踏み切り、喫緊に解決すべき難問に取り組むが、財政再建を始め円高や法人税引き下げなど国家の根幹に関る問題であり、閣僚と党の緊密な連携のもとに勇気ある決断を期待したい▼党の代表選びでも首相と小沢氏の主張する政策の違いは大きい。消費税についても、増税論の首相と小沢氏は現状のままとし、普天間にしても辺野古への移設とする首相と米と再交渉の小沢氏。衆院選の公約を見直すべきだとする首相に対し小沢氏は反対と真っ向から衝突した。結果はご承知の通り、首相が勝利し小沢氏の考え方は否定されたけれども、国会議員票の獲得数から見ると、首相は僅差での勝ちだし―小沢陣営が反旗を翻せば事は簡単にはすむまい▼政府与党が今―第一に取り組むべきは、日本の安全保障や国の借金が900兆円をも超している現状を如何に解決するかである。安保の問題は自衛隊の強化もあるし、アメリカとの日米安保条約が基幹なのだが、民主党の意見は一本化されてはいない。鳩山前政権での普天間での躓きも、根本的には、こうした党内事情が反映されているのは明らかである▼借金大国からの脱出を急ぎたい。ギリシャの苦境を笑ってすごせる状態ではなく、10年―いや30年はかかるかもしれないが、カネを借りての財政にサヨウナラしたい。と、改造内閣の責任は重い。(遯)

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