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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年9月5日付け

 佐渡島の朱鷺(鴇)が絶滅し、中国から贈られたつがいから繁殖した息子や孫らがやっと放鳥されているのは喜ばしい。だが、これも強い敵が多くいるなど難しい仕事だし、昔のように多くの朱鷺が舞うような風景を見ることができるのかはわからない。江戸の頃は、鶴の雑煮が好まれたそうながら、この鳥もすっかり少なくなり北海道や九州では給餌して鶴に好かれようと懸命なのだ▼こうした悲劇はアジアにはいっぱいある。鳥が棲む森が物凄い速さで破壊されるために生きていけなくなる。こんな厳しさを味わっているのだからーこれは悲しい。スマトラ島やボルネオ島では低湿地熱帯雨林が消滅しつつあり、島の鳥の4分の3が滅亡するの観測が強い。ブラジルには1822種かの鳥がいて世界でも2位だし、この国にしかいない固有種も232種いる▼しかしー緑の地獄を誇るこのブラジルも危ない。この広大な国もセラードに象徴されるような農牧業の発展につれて樹木は乱伐され自然の形態は大変貌している。この地球の農地は300年ほど前には地上の6%だったとされるけれども、今は地表の3分の1にまでなっている▼ブラジルも例外ではなく、固有種のうち55種が危険な情況に追い込まれているそうだ。アマゾンなど北部地域ながら、これも「開拓」という美しい言葉の裏にある無謀な計画によるものである。ブラジルにも多いオオムは388種もいるけれども、このうち52種が乱獲によって滅びるらしいし、人による無理と難題で鳥たちを死なせてはいけないのにーである。 (遯)

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