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◇コラム 樹海

 日本の核保有論が話題になっている。事は北朝鮮の核実験に始まり、7月に試射したミサイル「テポドン2」の射程は最大で1万5千キロに達するとされる。こうした脅威への対抗措置として日本も核兵器開発の論議をしてもいいのではないか―という自民党・中川昭一政調会長の談話に尾鰭がついてしまったようだが、首相は「非核三原則」は堅持と語っているし、直ぐに原爆をという話ではない▼だが―アメリカには「核ドミノ理論」が根強い。北の実験によって日本と韓国・台湾が核兵器へと進むのではないか―の議論である。確かにこの3国の技術水準は高く、もし開発に取り組めば極めて短期間のうちに成功するの観測は多い。仮に台湾が原爆を造り所有すれば、中国の猛烈な反発は避けられないし北東アジアの安全保障は一挙に崩壊する▼ライス国務長官が危惧するのも、この理論の延長にあるものと見られるが、北が再実験や3回、4回と続ければ―将来的な課題として浮上するのは間違いあるまい。今、北の核武装で危険度が一番高いのは、云うまでもなく日本である。あのミサイルを試射した無水端里(ムスダンリ)から「7分後」には列島各地の何処へでも着弾する。しかも、現在―飛来するノドンやテポドンを空中で捕えて撃ち落す兵器を日本は持っていない▼こうしたミサイルを迎撃する整備を急ぐべきは論を待たない。米軍のミサイル防衛技術は高くその活用をも視野にいれての対策を考える必要もある。北朝鮮に次ぎイランもいる。と、核兵器拡散の傾向が強まる現実にも目を向け日本の安全をどう確保するかの方策を探りたい。 (遯)

2006/10/21

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