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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年8月14日付け

 先日、サンパウロで日本の人気テレビ番組の収録があった。視聴者参加型の番組で日本人・日系人らが出場した。百周年記念企画でもあり、それぞれの移住体験を司会者が質問していた。逞しくブラジルを生きた同胞の存在が日本のお茶の間に伝われば、と思う▼出場者の一人に日系人と結婚した日本人女性がいたのだが、その言動に眉を顰めすぎ、まだ眉間の皺が取れないでいる。司会者が苦労話を聞き出そうとするのだが「ブラジルの製品は質が悪い」ことを声高らかに吠えるのである▼例えば―、キッチンペーパー(台所用の紙布巾)がすぐちぎれるなど「台所感覚」でブラジルでの奮闘ぶりを大仰に身振り手振り。切れの悪いラップを手に、今でもため息をついている筆者も大いに同感する部分だ。ブラジルを礼賛する必要はない。ただ、主婦連の茶のみ話ではなく、日本全国に流れる番組であることを考慮すればどうか▼今年の百周年。一概に悲惨で暗いと断じられている移民の歴史を日本のメディアが多方面から取り上げた。一世紀の今を転換期と捉え、将来の日伯関係を模索した取り組みも多かったことは、本紙でも紹介してきた▼「じゃあ、いいところは何ですか」と少々困りながら(筆者にはそう見えた)水を向けた司会者に、「お手伝いさんが掃除などをしてくれること」を真っ先に挙げたのである▼ブラジルはあまりに大きく多様だ。どの部分をどう切り取り、伝えるかは、各自の裁量次第だろう。それをどう受け取るかもまた然りなのだろうが。  (剛)

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