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コラム 樹海

2007年2月27日付け

 中国は有人衛星「神舟」の発射やミサイルで宇宙衛星を破壊するなど注目度が高い。経済成長率も10%近いし日本からの輸出国としても米国に次ぎ二位。輸入先国では第一位と大国であるのは否定できない。何しろ13億という膨大な人口が物を言う。財界がこの巨大な市場に目を向けない筈はなく、世界の先進国は中国に向けて突っ走っているが、果たして将来的にも繁栄が続くのか?となると―疑問も多い▼人が多いのは市場としては有望である。けれども、これを消費者と見るのは如何なものか。所謂―金持ちは真に少ない。貧困層の農民は年収10万円以下であり、生活も決して楽ではない。しかも、13億人のうち7億人が農民である現実を見れば、この国が豊かとは言えまい。上海など沿岸地域の活況は認めるにしても、その背後には貧しい農村があるのをきちんと見つめる必要があるのではないか▼共産党の幹部や役人の腐敗も酷い。この数年の間に汚職で摘発された官僚は20万人を超え、違法に持ち出された資金は1兆円(7百億元)に近いという。中国は共産党の一党支配で党と役人の専制国家であり、これが不正の温床になっている。華錦涛主席と温家宝首相は「反腐敗」を打ち出しているが、この悪習が簡単になくなるとは思えない▼中国は大きい。けれども―砂漠化も深刻で一年に東京の面積が砂漠になっているの報告もある。水の不足もあって「北京には川が一本もない」そうだし、必ずしも楽観は許されない。来年の北京五輪は大いに結構ながら―背後にある中国の暗い事実にも冷厳な目を―。  (遯)

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