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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年5月31日付け

 北方領土・竹島や尖閣諸島と、日本はほとほと参っている。これらの島は日本の国土であり、露や韓国、中国が駄々を捏ねているのだが、菅政権の対応は眞にもって不甲斐ない。メドベージェフ大統領が北方領を訪問し、中国は国後島に露と合弁会社設立で合意。さる24日には、韓国の国会議員3人が国後島に50分とか滞在し、日本では大騒ぎになっている▼韓国議員の北方領土訪問の報は以前からあったが、22日に李明博・韓国大統領と会談した菅首相は、原発事故のことばかりの話をして—領土に関する重大なことには一切触れなかった。中国の温家宝首相にも、尖閣諸島での船長逮捕や中国側の船舶による不当な抗議行動にも一言もなく平和愛好ムードに終始したのは如何なものか▼国後、択捉など北方4島については、橋本龍太郎元首相らが露首脳と熾烈な論争をしながら「返還」を強く迫り、エリツイン元大統領も、何とか決したいの考え方を示した。このため、日本の国民にもいささか明るい兆しが見え始めたの印象が強かった。しかし、プーチン政権になると方針が転換し、日露の主張は平行線を辿り、最近では返還どころではない▼と、領土問題の解決は、八方塞の状態ながら—民主党の土肥隆一衆議に到っては、韓国の議員と「竹島の領有権主張を止めるよう日本に求める宣言」に署名する始末なのである。まあ、この愚劣極まるな言動の責任を取るかたちで衆院政治倫理審査会を引責辞任はしたが、こんな人たちに領土返還という難問の解決を期待し胸を弾ませるのが、そもそも大いなる間違いと見るべきなのかもしれない。(遯)

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