ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年10月9日付け

 羽田孜元首相、渡邊恒 三元副議長と同期で当選14回の小沢一郎氏は、今や政界の大物であり、ちょっと前までは民主党を牛耳る実力者だったし、選挙の神様と崇められ自民党天国を潰し政権を手にする大殊勲をあげた。中国訪問では身内の議員や支持者ら400人超を引き連れての大名旅行だったけれども、あれは中国詣への「参勤交代」ですな―の姦しい悪罵も多い▼初めて当選し衆議になったときに小沢、羽田氏は故田中角栄氏に呼ばれ「同期には県会議長の経験者や政治のプロがいる。だが、君らは一年生だ。従って先ず勉強することだ」と話したそうだが、この教えを二人はよく守り、政治と政策に精通し政治家として大成する道を歩み始める。あのロッキード事件で田中氏が逮捕され裁判が始まると、小沢氏は第一回の公判から最後まで裁判所に通ったのだから真の忠臣ともいえる▼と、こうした表街道の言動は綺麗であり、人々の心を捉える魔術のようなきらびやかさである。しかし―小沢氏は、どうも「闇のカネ」についての秘術を師匠・田中氏と金の延べ棒の故金丸信氏から学び取ったのではあるまいか。ゼネコンからの献金もあるし、家屋土地など不動産も巨額な金額に上るなど「政治とカネ」に繋がるような疑惑がいつも付き纏うのは、こうした暗いところがあるからではなかろうか▼それでも小沢氏は「東京地検が不起訴」だとし潔白を語るが、検察審査会が「強制起訴」を議決したのだから政界は大騒ぎになり、小沢氏は「法廷で闘う」と闘志満々。と、小沢氏と検察審査会の対決は続き、暫くはこの「戦争」から目を離せない。(遯)

image_print