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人気のブラジル書道愛好者展=2日で400人が来場=指導者らが迫力の大字書

ニッケイ新聞 2010年10月23日付け

 ブラジル書道愛好会(若松如空会長)は9月25、26日、文協貴賓室で「第31回ブラジル書道愛好者展」を開催し、縦1メートル60センチ、横80センチ大の全紙から、その半分の半切、はがきサイズまでの様々な書や、木を彫り文字を浮かび上がらせた刻字作品などが飾られた。2日で約400人が訪れ、若松会長ら指導者級の書家らによる大字書では、静まり返ってその一筆一筆に見入った。

 会場には10を超す共催団体の生徒、指導者らの掛け軸、額に納められた作品など約130点が壁一面に飾られた。
 中には横文字だけ書かれた作品も。国際選抜書展、通称「書の甲子園」の2007年グランプリ作品「SANTOS」を始め、昨年の大賞、今年の準大賞を獲得したアルファベット書だ。
 「アルファベット書への理解が進んで欲しい」と若松会長は話す。会長によれば、現在ブラジルで書道を嗜むのは、6割が一世、3割が二、三世、非日系人が1割程度だという。今後日本語を母国語としない人の割合が増えるのは必須だ。
 「漢字に含まれる意味の感覚を取らえるのは母国語でなければ難しい」という若松会長。「刻字の世界ではすでにアルファベット作品の受け入れが進むが、日本の大きな書展では殆ど認められていない」と残念そうな表情を見せる。
 2日目午後に行われた書道のデモンストレーション。会場は静まり返り、緊張感が漂う中、まず根本碧水さんが見事に「舞」と大きく一文字。若松会長の後には、金箔をまぶした墨汁を使った小林月仙さんが近代詩文を披露。最後は石川爽香愛好会副会長が、墨を激しく散らす迫力の筆使いで「童心」と披露。書きあがる度、拍手が送られた。
 普段は銀行に勤めるマルセイロ・オリベイラさん(37、非日系)は書道9段の腕前で自作を出品した。高校生の時、書道に出会い、感動を覚えたという。「心を表現できることが書の魅力。伝統的な書体をしっかり学ぶことが大切と思う、死ぬまでが勉強です」と意気込む。
 又吉喜次郎さん(70、2世)はリベイロン・ピーレスから来場。「昔覚えた漢字を思い出しながら書いています。日本人の顔をしている自分は漢字を書かず、日本語を話さないでいると、物足りなさを感じてしまうから」と月に1回、同地で開かれる書道教室に通い続ける理由を話した。

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