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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年12月25日付け

 先の23日は天皇陛下のご誕生日であり、皇居の一般参賀も格別な賑わいだったのは真に悦ばしい。今年は「喜寿」のおめでたさを迎えたこともあり、遠い九州から駆けつけたお年寄りもいたし、この祝いを老いも若きもが、競うようだったのが何とも嬉しい。これに比べると、我がコロニア(もう消滅してしまい存在しないのも知れないが)は、眞にもって寂しい▼「喜寿喜び、万歳三唱響く」の弊紙の見出しは、とても格好よいけれども、文協貴賓室での祝賀会に出席したのは僅かに50人―とは情けないに尽きる。文協の会長や評議員だけでも100人はいるだろうに、これでは日本文化の伝播や普及も無理としか申しようが御座いませんな。と、横に逸れたが、昭和8年に皇太子継宮明仁親王(今上天皇)がお生まれになったとき、国民の祝意は、いやがうえにも高まった▼明仁親王には成子、祐子、和子、厚子内親王しかいなかったの影響も大きかったのだろうが、東京にご誕生を知らせるサイレンが鳴り響くと人々は日の丸や提灯を持ち行列したそうである。国民の祝祭に関する調査によると、正月についで天皇の誕生日が第2位になっているのを見ても、皇室を敬う心がしっかりと根付いているのが読み取れる▼昨年、天皇は践祚20年と美智子皇后さまとのご結婚50年を祝われたが、これほどに国民と親しまれた天皇と皇后も初めてであり「平成の皇室」を象徴していると受け止めたい。人々とお会いになるときにも、気軽にお話になるなど、新しい皇室のあり方をさりげなく見せているのが、とても麗しくありがたい。(遯)

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