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■ひとマチ点描■日本で歌手になりたい=ジョナタン君の夢

ニッケイ新聞 2011年1月6日付け

 舞台裏での取材を終えて会場に入ると、伸びのある、高くきれいなが耳にすっと入ってきた。
 INB主催のブラジル紅白、第2部19番。13歳の少年ジョナタン・プラド君(サントス)が、天童よしみの「人生しみじみ」を、まだ変声前の高い歌声で歌い上げていた。その幼く愛らしい笑顔が第一印象に残る、歌詞の発音は完璧だ。
 今、非日系のその少年が、各地の日系カラオケ大会や、TV番組などで見事な演歌を披露し、注目を集めている。
 幼少の頃から歌が好きだったジョナタン君。彼の夢を形作ったのは、演歌との2つの出会いだった。
 カラオケ店のガルソンとして働いていた母親が子守唄として日本の歌を彼に歌って聞かせ、次第に演歌が身近な存在に。そして9歳のころ、コロニア歌手の鈴木プリシラさんと出会い、初めて同氏のCDを聞き、1週間でその曲をマスター。日本の曲にはまり、教室に通ったという。
 「日本で歌手になりたい。そのために日本語を勉強したい」とジョナタン君。
 しかし、近くのサンビセンテの日本語学校は16歳からの受け入れしかなく、現在その環境がない。その他、音楽活動でもバンドのメンバーを探している状況だという。
  —この世の試練に、笑顔で耐えて、倖せ花咲く、のぞみ坂—
 日本で歌手になることは並大抵のことではないが、歌った「人生しみじみ」の歌詞に、そうあるよう、その印象深い笑顔を失わず、夢を目指してほしい。夢の舞台、日本のステージに立つ日は来るだろうか。(秀)

写真=「人生しみじみ」を歌うジョナタン君

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