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100周年記念の祝い無し?=サンパウロ市立劇場の芸術監督辞任
ニッケイ新聞 2011年2月15日付け
昨年9月から2013年末までの約束でサンパウロ市立劇場芸術監督に就任した指揮者のアレックス・クレイン氏が、劇場の芸術監督を〃あきらめた〃と述べ、9日に辞任したことを11日付エスタード紙が報じた。
芸術監督としての給与は3万5千レアルにも関わらず、9月12日に迎える劇場の100周年記念日の時に、それに相応しいプログラムの作成を約束できず、サンパウロ市民に〃顔をあわせられない〃と話した。
辞任した大きな理由は、ジュゼッペ・ヴェルディ作曲のオペラ『リゴレット』(9月13日からサンパウロ市立劇場で公演)の制作指揮として雇われた舞台監督のフェリッペ・ヒルシュ氏との衝突だが、最後の決め手となったのは、百周年記念日の9月12日に予定されていた祝賀コンサートが、クレイン氏には何の相談もなくキャンセルされたことだった。
サンパウロ市立劇場は、建設開始から9年後の1911年にシェイクスピアの悲劇『ハムレット』の公演で開業し、22年には〃現代美術週間〃の舞台にもなった。51年に建築家のチト・ラウシュト氏の下で拡張工事後、86年には2回目の修復作業。この工事は5年の月日を経て、91年に完了した。
2008年には開業当初の特徴を取り戻すための改築でまた閉業し、再開日が決まらないまま。当初は11月に開演の予定だった『リゴレット』の前倒しに伴い、サンパウロ市バレー団の公演も中止されるなど、サンパウロ市文化局やヒルシュ氏の方針と運営担当者の意向が噛合わない状態が続いていた。