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デカセギ18年の思い出が・・・=苦楽共にした荷物が不明に=業者の対応に憤る佐藤さん=「同じ日系人だから信用した」

ニッケイ新聞 2011年2月15日付け

 【既報関連】静岡県に本社を置き、在日ブラジル人の集住地で引越し業務を行っていた「K・K TOMODATYS」(代表取締役=花村カルロス年男)の倒産に伴い発送荷物の紛失、遅配の被害が問題となっていると3日付本紙で報じたが、現在も事態は進展していないようだ。「私もそうなんです」と話すのは佐藤晃三さん(福岡県出身、サンパウロ市在住)。単身18年にも及ぶデカゼギ期間を共に過ごし、「寂しさを紛らわしてくれ、日本での楽しみや苦労が染み込んだ」荷物を返してほしい、とワラをもすがる気持ちで編集部に情報を求めにやってきた。

 佐藤さんが持参した契約書類には、「2010年3月10日」の日付があり、荷物を預けてから1年近くの月日が過ぎようとしている。すでに、警察にも被害届けを提出している。
 一世である佐藤さんは、2年に一度永住権の更新のために帰国しながら、埼玉県で18年間単身就労した。
 「家族もいない日本は寂しかったが、それを紛らわしてくれたのが物だった」と振り返る。
 預けた荷物の中身はパソコン、CD、DVD、衣類、日用品など。大、小2つの荷物を送った。「日本での苦労、楽しみが染み込んでいる。金には代えられないものなんです」と悲痛に訴える。
 ブラジル側の事務所はもう無く、電話は不通。警察では同社の業務を引き次ぐ業者が案内されたが、その会社もインターネット上のサイトしか無く連絡がつかないという。
 佐藤さんは、「どういう行動を取ったら良いか分からない」と困惑し、会社の無責任でずさんな対応に憤り、最後に、「(契約は)信頼の上でのこと。同じ日系人だから信用した」と洩らした。
 3日付の本紙に掲載した同じ被害者のルシアーノさん(マリンガ在住)にも連絡を取ったという佐藤さん。同氏と同じく、集団での訴訟も考えているという。

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