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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年2月22日付け

 ちょっと信じ難いけれども、この地球には独裁者がけっこう多い。まあ—独立国が200に近いし、いろんな政治が行われているのは理解できるが、犯罪者には石川五右衛門ばりの釜茹での刑もあり、犯人を茹で殺すところもあるらしい。ある雑誌の独裁者番付によると、トップは金正日総書記。10番目が胡錦濤国家主席だそうだ▲この中には、核兵器発に懸命なイランのアフマディネジャード大統領も入っている。リビアの最高指導者カダフィ大佐もかなりの曲者だし、バーレーンのハリーヒァ家の独裁振りも世に知られている。チュニジアから発した市民革命は、エジプトのムバラク大統領を追放したが、この独裁打倒の潮流は中東全域に広がり、今や猛威となっている▲それにしても—である。この庶民らが蜂起し、反政府運動を繰り広げているのが、北アフリカと中東の独裁専制国だけというのが、何とも興味深い。あのホメイニ師が、1979年にパーレビ国王を倒したイラン革命は、言うまでもなくイスラム革命だったが、今、起こっている政治の動きも、これと軌を同じにするのではないか。勿論、政府側からの弾圧もあるようだし、この騒動が成功するの保証はない▲しかし、イラン革命もだが、王制でもあれほど簡単に崩壊したし、一般市民の力の強さがどれほどのものかは、エジプトで政権打倒に勝利したのを見れば、容易にわかる。これからも紆余曲折はあろうが、大きな流れは独裁体制の敗北となって進展するに違いない。そして、アラブ世界は新しい歩みを始めると捉えたい。(遯)

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