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帰伯ブラジル人の調査に=市町村研修所から2氏来伯

ニッケイ新聞 2011年3月19日付け

 滋賀県にある全国市町村国際文化研修所から林敬治・教務部調査研究部研修副主幹(42)と出口利明・同部主査(37)が12日に来伯し、滞在中の案内を担当する山田康夫・滋賀県人会長とともに14日に本紙を訪れた。
 同研修所では全国の市町村から派遣された職員約5千人が研修する。今回の派遣は多文化共生を進めるためにブラジルの生活や文化的な背景を学ぶのが目的で、19日まで滞在し、サンパウロ市を中心に視察や帰伯ブラジル人の追跡調査などを行う。滞在中はジェトロや総領事館ほか、グルッポ・ニッケイ、ISEC(文化教育連帯学会)、CIATEなどデカセギ関係団体を訪問する。
 林氏は滋賀県国際課からの派遣職員として99年から1年半、姉妹州の南大河州ポルト・アレグレに滞在し、ブラジル訪問は今回で4度目。
 08年のリーマン・ショック後約6万人のブラジル人が帰国したと見られる中、林氏は「帰伯者の現状や支援の方法、または再訪日の可能性などについて調査したい」と話す。13日には留学・研修生OB会(ASEBEX)主催の「夏祭り」を訪れ、「若い人達の熱気に感動した。帰ってからこちらの人の思いを伝えたい」と語った。
 石川県金沢市職員の出口氏は初めてのブラジル訪問。「ブラジルの文化を肌で感じたい」と述べた。
 両氏が日本を出発したのは、東日本巨大地震が発生した11日。林氏は「こちらで会う人皆が心配してくれ、見舞の言葉をいただき、日本のことを思っていると感じた」という。「帰国後は研修の成果を少しでも各市町村の職員に伝えたい」と語った。

滋賀県人会が=義捐金を寄託

 滋賀県人会では今回来伯した両氏に対し、東日本巨大地震への義捐金として20万円を託した。山田会長は、「ブラジル日系社会がいかに心配しているか、その思いを伝えてほしい」と話していた。

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