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「木下」3周年特別献立=義父と村上シェフの結晶

ニッケイ新聞 2011年3月22日付け

 割烹「木下」が移転3周年を迎えて特別コース料理「3周年記念メニュー」(1人分988レアル)を提供している。2月26日に亡くなった創業者の木下利雄さん(北海道協会会長)と娘婿の村上強史(42、北海道)オーナーシェフが1月から相談して粋を凝らした料理の数々だ。社員への特別賞や賓客の接待、家族の記念日などに利用されているという。
 988レアルといっても〃シャンパンの帝王〃の異名を持つ仏製「クリュッグ」(KRUG、900レアル)を入れた値段だ。「木下」はクリュッグ社から公認された世界でも数少ない店(クラブ)で、南米では唯一。あの有名な「ドンペリ」を上回る格といわれ、全ての製造工程が職人芸で生産量も少ないために値段も高い。
 同店が誇る創作和食コース料理「おまかせデグスタソン」(竹180レ、松230レ、割烹290レ)は通常7皿で飲み物別だが、3周年記念メニューはクリュッグに加えて11皿が楽しめる。「山葵とレモンを利かせた生和牛」「フォアグラとウナギの合わせ」「ホタテとズワイ蟹の汁物」「甘鯛の鶉の黄身とタラコのせ」「猪肉の味噌漬け」など。品目はその日の素材の仕入れによって変更される。
 「おまかせメニュー」はグロリア街の旧店時代、95年に村上フェフが始めたもので当地では先駆け。旧店では故木下さんの料理が中心で「おまかせ」は新分野だったが、新店ではこの路線が中心になり、ブラジル人富裕層に顧客の重心が移った。
 故木下さんの誕生日の2月18日から先月末で記念メニューはとりあえず終わったが、予約(電話=11・3846・7327)客のみに提供を続けるという。
 「米の研ぎ方一つにこだわっている」という村上シェフだけに、土鍋で炊いたご飯のふっくら具合は格別だ。できる限り無農薬野菜を使い、安心や健康に気を配る。
 カウンターは村上シェフの〃一人舞台〃のよう。日ポ両語を交えた常連客との賑やかなやり取りも楽しい。「パパイはシンプルで、あまりしゃべらないけどきちんとした料理のスタイルがあった。僕はそれを学んだ。それをみんなに見てもらえるようにここもオープンキッチン(客席から調理場が見える形式)にした」。なお昼食では竹(49レ)、松(68レ)などのメニューも用意されている。

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