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神戸=水野龍と上塚周平=両顕彰会が交流誓う

ニッケイ新聞 2011年3月24日付け

 【高知新聞=富尾和方記者】「ブラジル移住の父」と呼ばれる高知県高岡郡佐川町出身の水野龍(1859〜1951年)と、水野の右腕として現地で活躍した熊本県出身の上塚周平(1876〜1935年)の功績をそれぞれ顕彰する本県と熊本県の関係者がこのほど、ブラジル移民発祥の地、神戸で初めて顔を合わせ、交流を誓った。
 水野は青年期に県内で自由民権運動に参画後、移民事業に乗り出し、東京で皇国殖民会社を上塚らと設立。1908(明治41)年に県人18人を含む移民781人を笠戸丸で送り、後に25万人に達する日本人移住者に道を開いた。
 上塚は現・熊本市城南町出身。東大法科を卒業後、水野とともに笠戸丸で渡った。ブラジルで亡くなるまでのほとんどを過ごし、移住者のための土地の確保などに奔走した。
 今年1月から、神戸市と財団法人日伯協会が同市の「海外移住と文化の交流センター」で開いている「知られざるブラジル移住の歴史展」で、水野と羽越から移住の先駆者たちにスポットを当てた第1期展がこのほど終了したのを機に、佐川町・水野ブラジル協会(田村裕子会長)の4人と熊本市のくまもと上塚周平顕彰会(一村信義会長)の3人が同センターを訪問。両グループが顔を合わせたのは初めてで、一村会長は「ブラジル移民の歴史を考え交流を広げたい」、田村会長も「これを機に熊本にも足を運び勉強したい」と相互訪問や交流に意欲を見せた。
 企画展は今後。第2期展「移住の成熟期を支えた人々」(5月下旬〜7月下旬)、第3期展「戦後の移住と日系人の活躍」(10月中旬〜12月中旬)とバトンをつないで開催される予定。

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