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往年の名選手が一肌脱ぐ=クリチーバ=慈善サッカーにジッコら=連帯の気持ちで義捐金集め=2万2千人が大熱狂

ニッケイ新聞 2011年4月9日付け

 パラナ州都クリチーバ市のアトレチコ・パラナ蹴球場で4月7日午後7時半から、東日本大震災とパラナ州沿岸水害双方の犠牲者を支援する慈善試合が行なわれ、ジッコ(元鹿島)、カレッカ(元柏)ら日本でプレーした数々の往年の名選手を中心に現役同様のワシントン(元浦和、今年1月に引退)、ベット・リッシャ同州知事、ロマリオ連邦議員らも参加して会場を大いに沸かせた。パラナ州スポーツ局などが中心になって主催、2万2221人が入場し、その収益のうち22万レアルが日本に義捐金として送られ、残り約14万レアルを同州水害被害者に送ることになった。

 試合前の記者会見でリッシャ州知事は、「日本移民はパラナ州の発展に大きく寄与してくれていることは、州民にあまねく知れ渡っている。私はそんな日本人たちの大ファンであり、勤勉な日本国民は必ずや今回の大災害を乗り越えるものと確信している」との開催動機を語り、「これだけ素晴らしい名選手が揃ったのは、日本への連帯の気持ちが強いことの現われだろう。この試合が少しでも助けになれば」と語った。
 元日本代表監督のジッコも「僕らができる貢献などたいした事はない。小さなことかもしれないが、これを通して日本の人に僕らの気持ちを伝えたい」とのべた。
 試合は日本チームとパラナ州チームに分かれて40人以上の選手が出場した。日本勢にはジッコ、ロマリオ、ドゥンガ(磐田)、ジーニョ(横浜)、カレッカら往年の有名選手が中心になり、パラナ勢にはライー、ゼッチら有名選手に加えて、リッシャ知事自らボールを蹴る姿も見られた。観客席からは終始声援が絶えず、懸命にボールを追ったり、リフティングなどの華麗な技が披露されるとすかさず大歓声が上がり、選手と観客が一体となってゲームを楽しんでいた。
 試合の合間にドゥンガ元ブラジル代表監督は、「今日本は大変なことになっているが、我々は心から応援している」とコメントした。ロマリオ連邦議員はたびたび現役さながらの妙技を披露し、交代した後に「日本人は今、大災害に苦しんでいるだろうが、その苦痛を少しでも和らげられればと参加した。このような日本を応援するイベントに参加できて僕のほうこそ幸せだ」と取り囲んだ記者団に語った。西森ルイス連邦下議によれば、「連邦議会の同僚だから誘ったらその場でOKと即断してくれた」という。
 試合結果は5対5の引き分け。前半は日本チームが4対1とリードしたが、後半でパラナ勢が盛り返した。後半10分ぐらいでアルシンドと共に交代したジッコは「美しい試合ができた」と喜んだ。アルシンド(元鹿島)は本紙の取材に「息子が今、鹿島アントラーズでプロとして活躍しているから、よけい日本のことが心配だった。鹿島は私の第二の故郷だ」と答えた。
 日伯寺の僧侶、佐々木エドゥアルドさんは試合の前に一分間の祈りを捧げ、「ゴールが入るたびに湧き上がる声援は、そのまま日本の被災者へのエールだ。災害に立ち向かっているみなさんを応援するためのゲームだ」とマイクで語りかけたが。まさにその通りのゲームとなった。
 日本国政府を代表して出席した山口登在クリチーバ総領事は「大変感激している。日本で活躍した選手はもとより世界的に有名な選手までもが参加して連帯と友情の気持ちを表してくれたことに心から感謝したい」と語った。

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