ホーム | 日系社会ニュース | 揺れる角界にブラジル新風=新入幕魁星、勝ち越し決める=9連勝、31年ぶりの快挙

揺れる角界にブラジル新風=新入幕魁星、勝ち越し決める=9連勝、31年ぶりの快挙

ニッケイ新聞 2011年5月18日付け

 現在行なわれている大相撲技量審査場所(東京・両国国技館)で、ブラジル出身で新入幕した魁聖(24、三世、リカルド・スガノ)が9連勝、10日目栃ノ心との対戦で初黒星を喫したが、すでに勝ち越しを決めた。9連勝は1980年九州場所、佐田の海以来で31年ぶりの快挙。八百長問題に揺れる角界にブラジルからの新風を吹き込んだ格好だ。祖母の正子さん(79、愛知)は、「回りの人からもパラベンスと祝ってもらった。これからも頑張ってほしい」と孫の活躍を喜んでいる。

 全ブラジル相撲選手権大会・無差別級で優勝後、06年に訪日し、同じく日系ブラジル人の元十両・若東の黒田吉信氏の紹介で友綱部屋に入門した。
 身長194センチの恵まれた体格を活かし、07年三段目、08年幕下に昇進。
 10年7月場所で新十両に昇進し、11月場所の優勝決定戦で十両初優勝を飾った。
 11年1月場所は十両筆頭で勝ち越し、5月の技量審査場所で新入幕を果たしていた。 相撲との出会いは17才の頃。父ルイスさんの友人の相撲を見に行った時だ。
 「私はあまり(相撲に)興味はなかった。でも息子は一目で気に入っていたよ」と話すルイスさん。現在はNHKの中継がないため、インターネットで息子の活躍を見る毎日だ。
 「日本の相撲の世界は厳しい。本当に行くのか」と心配した訪日時を振り返り、「最近便りがなく淋しく思っていたが、勝ち越した日に電話をくれた」と誇らしげに語った。
 サント・アマーロ支部で相撲を教えたブラジル相撲連盟の籠原功会長は、「とにかく練習熱心だった。日本に比べ、ブラジルはスピードが鍵。恵まれた体格に加え、瞬発力も磨かれのでは」と分析する。連盟では化粧まわしの製作も議題に挙がっているという。

image_print