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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年5月18日付け

 邦字紙の先輩方から常 々言われていたことの一つに、「コロニアに軸足を置け」というものがある。コラム子を含め平成の時代に来伯した世代は、ややもすれば「日本ではこうだ」と高みから決め付けた見方をすることがある。読者の視線を意識し、あくまで発信源は地元コロニアにあることに留意する肝要さを伝えてくれていたのだと思う▼そんな忠告を久々に思い出し恥じ入った。今年10月にある『第5回世界のウチナーンチュ大会』への参加が減少していると報道した日本の新聞サイトを見て、11日の小欄で「沖縄県人会の対応を見たい」と触れた。ところが同会に直接取材した本紙記者によれば、話が違うどころか全くの逆。前回大会のほぼ倍が訪沖するとか▼14日付け本紙で「参加者激減の事実はない」と大きく報道した。県人会にも寄っていない某団体の関係者が沖縄のメディアに話したものが記事となり、記事の提携先である全国紙にも報じられたようだ。裏を取ればいいのにーと天に吐きそうになった唾を飲み込んだ▼与儀昭雄・前会長は今年、ブラジル、ペルー、アルゼンチンである県人組織の節目の式典への影響を危惧する。「南米はつれない」と思われては心外だろう。「全く迷惑ですよ」と苦笑する。08年の県人移住100周年で心を砕いただけに、今回の報道を残念に思う気持ちは強い▼県人会の日本語学校では、多くの青少年が訪沖に向け机に向かう。「〃帰る〃ことは、世代を経ようが特別」と与那嶺真次会長は話す。また多くの交流が生まれることだろう。風評被害をものともしないウチナーンチュ魂を見せつけて来て欲しい。(剛)

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