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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年1月22日

 W杯真っ最中の7月4日から選挙運動が始まる。話題の東京都知事選などは2週間余りだが、当地では足かけ3カ月もあるので、膨大な手間と費用がかかる。選挙期間が長い方が〃軍資金〃を持つ既存の政治家に有利だし、それゆえに汚職に手を染めやすい。本来はもっと政治家の新陳代謝を促進する選挙制度の方が望ましいことは言うまでもない▼しかも2年ごとに市政選挙と国州政選挙を繰り返す。自ら出馬しない年でも、同じ党の候補者を手伝う必要があるから政治家には大きな負担だ。2年ごとに選挙準備作業を含めて半年間、彼らは本来の国を良くするための活動ができない▼〃軍資金〃が必要だから、当地政治家の多くは汚職を何とも思っていないと聞く。その点、汚職をしない性向を持つ日系政治家は不利だ。「悪貨は良貨を駆逐する」という金言があるが、倫理なき政治は「弱肉強食」の世界だ。日系政治家が勝ち抜くためには日系団体の支援が不可欠なはずだ▼安部順二下議と先日話した折りも、「かつての移住者は農業を通してブラジル発展に尽くす心意気が強かったが、今の若者は関心が薄い。もっと国を良くするための議論の場がほしい」と語っていた。106年も経ったのだから、日系団体は親睦や文化普及だけでなく、日本的な考え方をもって当地を良くする方策をもっと考えていい。とくに選挙権を持つ青年部だ▼これから各地で総会が開かれる時期だ。ぜひ各鉄道沿線で連合会青年部を集める機会を作り、日系政治家を呼んで公開討論会をしたらどうか。「日系らしい視点」からこの国を良くする――そのための議論はまさに〃次の百年〃の重要な活動だ。(深)

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