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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年6月20日

 アマゾン日本人入植80周年記念誌『アマゾン』の刊行記念会が先週末にあった。その模様は記事で詳報したい。来場頂いた多くの方々に、この場を借りてお礼申し上げたい。遠くベレンからアマゾン商業界の雄、山田フェルナンド氏も出席してくれたことに加え、嬉しいことがいくつかあった▼来場した二世女性が話しかけてきた。長野県での留学生仲間がアマパー州に住んでおり、その連絡先を知らないか、という。偶然取材していただけに驚いた。学生時代は親しく付き合い、帰国後も文通していたのだが、結婚、子育てなどで便りが途絶えていたという▼後日、電話で連絡先を伝えると『アマゾン』をすでに読んだとのことで、掲載写真を見て「昔と全然変わっておらず懐かしい。早速電話します」と声を弾ませた。70年代に長野で交わした友情。どんな話に花を咲かせたろうか。久闊を叙する機会になったことを喜びたい▼その連絡先が手元に見当たらず、アマパーで取材の協力をしてくれた人に電話。四方山話をするなかで、経営する学校の日本語教師の不在を当時嘆いていたことに触れると、現在、初のJICA青年ボランティアが派遣され、太鼓指導でも奮闘しているとか。今年9月にアマパー日本人入植60周年が行われることも知った。遠くアマゾンの小さなコロニアが祝う節目にも思いを馳せたい▼グァマに移住した知人が子供の数だけ購入。シベリア抑留体験など苛烈な自分史も書かれているのだが、ポ語になっていないことを他人事ながら残念に思っていた。いつか孫らがページをめくり、自分のルーツを思う日が来るだろう。(剛)

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