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ニッケイ新聞 2011年6月9日付け

 「私の映画評を読んで多くのブラジル人インテリが日本映画館に足を運んだ」と自負するステンヘイン監督はドイツ系二世。親がナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人で、74年に映画『Anjo Loiro』の脚本を手がけ、パウリスタ芸術批評家協会賞を受賞するなど、当地映画界の有名監督だ。「あの時代、本国以外で最大の日本映画市場はここだった」と語り、「僕は移民60周年の68年には日系人を扱った短編『一世、二世、三世』も発表したよ」と目を細めた。それにしても、当地の新作映画の9本に1〜2本が日本映画というのは、今ではまったく考えられない贅沢?
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 先日開かれた池坊の花展。非日系人や男性も作品を出品していた。記者が話を聞いた40代の非日系は皮の上着にピアス、一見生け花とはかけ離れたイメージだが、生け花歴は8年だとか。「英語の本で池坊を知り魅了された。花と器の組み合わせをどうするかがとても大事」と控えめな口調で穏やかに語った。人は本当に見かけに寄らない、と思ったと同時に、花と器の組み合わせは無限で、既成概念に捉われることが芸術の敵であることにも気付いた。
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 恋人の日特別ディナーを10、11両日に提供する「TRAIRA」で弾き語りを行うケイシー・コスタさん(25、三世)は9歳から歌手を始めた。また、日本で15年間暮した経験があり、現在はブラジルのリズムで日本語の曲を作曲中だとか。「ディナーではブラジルの曲を日本語に訳して歌います」とコスタさん。馴染みの曲でも新たな発見があるかも!?

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