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小寺照華書道展『ある区切り』=「貰ってくれありがたい」=作品譲り、震災義捐金募る

ニッケイ新聞 2011年7月8日付け

 書道家・小寺照華氏の個展「ある区切り」が2、3両日、文協ビル15号室で開かれ、約250人が来場した。
 小寺さん(本名・近藤照、89、北海道)が書きためてきた漢詩や近代詩文の作品35点を展示。来場者は書をじっくり眺め、筆の運びを目で追っていた。
 ジャバクアラから訪れた谷口勉さん(70、二世)は、「素人の私でも、整った字を見ると心がスッと落ち着く」と語り、ブラジル書道愛好会副会長の石川爽香さん(71、神奈川)は、「特に漢詩の書が素晴らしい。掛け軸の裏打ちもきれいで、書の良さが引き立っている」と感想を述べた。
 会場内では非日系人の姿も多く見かけた。リオ市在住のジョゼ・ノロニャさん(64)は友人のイヴァン・リマさん(63)と訪れ、「字の意味は分からないが、形が美しい」と感心していた。
 「家に作品をしまっておいても仕方ないし、保存も難しい。ここで作品と区切りをつけようと思いました」と開催の経緯を語る小寺さんは、作品や書道具、参考書を希望者に譲り、代わりに東日本大震災の義捐金の寄付を募った。
 「家に飾りたい」「書の参考にしたい」と来場者は思い思いの作品を譲り受け、募金箱に浄財を入れていた。
 小寺さんは、「全ての作品に貰い手が出てくれました。ありがたいことです」と声を弾ませていた。集まった1065レアルは、在聖日本総領事館へと寄託される。

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